前回(と言っても今年の3月なのですが)カターカリの街、コッタカルで益々カターカリにはまってしまった私は
数ヶ月の後またまたコッタカルに舞い戻り・・・なんと、自分がカターカリを習ってしまい、あまつさえ無謀にも
アランゲトラム(デビュー公演)までやってしまったのでした!!
勿論最初は、アランゲトラムなどというだいそれた事は考えてもおらず、よりよくカターカリを理解するためには
少しでも習ってみるのが一番!と言うくらいの気持ちで始めたことでした
やっているうちに、ボーイズ達におだてられ「せっかく習ったんだから舞台にでなきゃあ!」とか
「舞台姿を見たい!」とか言う言葉についのってしまい、そんなこととも知らずに、大変な決定をしてしまったのでした
自分が非常にだいそれた決定をしてしまった事に気がついたのは、リハーサルが始まってしまった後のことでした・・・
リハーサル風景
それまではアーシャン(師匠)の家で、座ってムドラを使用したアビナヤの練習 (歌詞の意味を手指の形と顔の表情で表現してゆく)が主体の練習だったのでバラタナティヤムの経験を生かして なんとかなるだろう・・・位に考えていたのでした ところが実際に歌手が入り、楽器が入り、相手役が入り・・・劇の形式で、相手役が演技している間の待ちや アビナヤの区切りに入ってくるカラーシャンというアブストラクトダンスの部分のターラ(拍子)の取り方などが バラタとは大きく異なり、それにもましてバラタとの大きな根本的な違いに、今更のように気がついたのでした その根本的な違いというのは・・・バラタの場合歌詞とムドラはいつもシンクロナイズしていて、 歌詞を聴いてダンサーはその意味にあったムドラを踊ってゆくのですが、カターカリの場合はダンスやムドラが非常に スローテンポなために、同じ歌詞が何度も繰り返して延々とうたわれ、ダンサーはそのなかで1ラインに相当するムドラ を自分のペースで踊り、最後の部分で歌詞の終わりと帳尻を合わせるというシステムになっているのでした そのため、歌詞にばかり気を取られていると、自分がいま何処のムドラまで進んだかというのが、 ハッと解らなくなってしまうのです、これはひょっとしたら私の要領が悪いのが原因かも知れないのですが とにかく私にとってはこの点を如何に克服するかというのが大問題となってしまいました
リハーサルの合間にボーイズ達と食堂で休憩
とにかくアランゲトラムをやるというのを決定してから、上演までの2週間足らずの日々はあまりにも出来ない自分に対する イライラと、逃げ出したい気持ちとの連続でした でも、懇切丁寧に教えてくださるアーシャンを始め、手当たり次第に捕まえてはする質問に、丁寧に答えてくれたり 見本に演技を見せてくれたり・・・本当に皆一丸となって協力して、助けてくれたナトゥヤシャンガムのスッタフや カターカリボーイズ達のお陰で、なんとかその日を迎えることが出来たのでした とは言え、最終リハーサルの時点でも、いまだカラーシャンのターラがきちんとつかめていない状態だったのです
アランゲトラムが行われたヴィシュバンバラ寺院と、右手に見える舞台
ところで演目はRambha Pravesham(ランバプラベーシャン)と言う演目で、プレラーマーヤナストーリーに相当する ものなのですが、ラーマーヤナの悪役であるランカ王のラーバナが異母兄と戦争をする前夜の物語です 明日は戦場となる場所にラーバナがやって来て、夜空の美しい星を眺めていますと、 そこへ一人の美しいアプサラスが通りかかります 実は彼女は敵方の王ヴァイシュラバナの息子のもとへといそぐ天界の遊女ランバだったのです 美しいブルーのベールに身を包み、夜闇に紛れて今宵の恋人のところへといそぐ彼女だったのですが、運悪く ラーバナに見とがめられてしまいます・・・彼女の美しさに心を奪われたラーバナは自分のものになるようにと 言葉を尽くして誘惑しますが、もうすでになされた約束を違えるわけにはいかないと決してなびこうとしないのでした ついに怒ったラーバナは力ずくでランバを犯してしまいます・・・力で踏みにじられて怒りに震えるランバは 「今後、おまえは自分の妻以外の女性に触れることは出来なくなるであろう!」という呪いをラーバナにかけます この呪いによって、ラーバナは後にラーマの妻シータを誘拐はしましたがついに犯すことは出来なかったというのです 大変インドらしい面白いつじつまあわせの様な話ですが、 この物語はランバがラーバナに犯されて呪いをかけるところまでのお話で、 その美しいアプサラス、ランバが私の役というわけです
メイクの開始・・・アーシャンがお祈りをして最初のファンデーションをつけてくださる
ウンニクリシュナがメイクをしてくれる
ラジューモハンがメイクの仕上げをしてくれる
アーシャンと記念撮影 カターカリ女形の出来上がりです(妹に腹話術の人形のようにブサイクで面白い顔だと云われました、 自分でもすごくブス可愛い・・・と思います) 沢山のペチコートを付けて、サリーを2枚重ね着をして・・・コロコロです!これで踊れるかなあ〜と心配でしたが それほど重いものではありませんでした
相手役をして下さったハリダースさん有り難うございました・・・ 熟練したダンサーなのでとてもやりやすく導いてくださいました
と言うような次第で、冷や汗もののアランゲトラムでしたが、メイクをして、衣装を付けているうちにだんだん その気になってきて、とにかく本番に強い私は大変落ち着いて踊ることが出来、前日まで全然あわなかったカラーシャン も音楽家のアジャストメントのおかげもあってなんとかボロをださずにやることが出来たようです 正味約1ヶ月少々の大変無謀なカターカリアランゲトラムでしたが、のど元過ぎれば何とやらで・・・ バラタとは違う劇のおもしろさにすっかりはまってしまい、次はまた違う演目をもっと真剣に時間をかけて 勉強したいなどと思っている今日この頃なのです
お気に入りボーイズと記念撮影 (マノーシュ・ウンニクリシュナ)