今日泊 亜蘭 1910〜2008年)

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矢野徹

今日泊亜蘭は日本SF小説の先駆者といわれている。戦後初のSF長編「光の塔」の作者である。
初めて氏の名前を目にした人は誰もが、なんと読めばいいのかと戸惑うだろうが、「きょうどまりあらん」と一番読みやすい読み方なのである。そして、一番響きのよい読み方なのである。
この筆名はSFを書くようになってからのもので、それまでにいくつもの筆名を用いている。
ちなみに、水島多樓名義で発表した「河太郎帰化」が三十九回の直木賞候補になっている。その後SF作家では小松左京、星新一、広瀬正、筒井康隆が候補に挙げられたが、SF作品が直木賞を受賞することはいまだにない。(戦前には立川賢が候補に二度挙がっている。半村良「雨やどり」が七十二回直木賞を獲るが受賞作はSF作品ではなかった。)
今日泊亜蘭の作品には、「宇宙兵物語」の登場人物などのきっぷのよい、べらんめえ口調がやたら出てくる。関西人の私にはなにやら引け目のようなものを感じる作品でありましたが、いなせであったろう氏のイメージがついて離れないのであります。
(2009年85号掲載)

 
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