ペンネーム小隅黎(こずみれい)。日本最初のSF同人誌「宇宙塵」の主宰者であり、日本SFファンダムの父であり恩人である。
柴野拓美さんを初めてお見かけしたのは星群祭だった。会場のフロント近くにあるソファーに腰掛けて新聞などを読んでおられた。傍らには必ず奥さんが寄り添っておられた。柴野さんといえば、雲の上のひとという印象であったが、初対面のわたしに気軽に声をかけてくださるような心やさしいひとだった。
ある年の星群祭の二次会で、似顔絵を額に入れてお渡しした。喜んでいただいたのかどうか、そのときは知る由もなかった。が後日礼状とともに数冊の本が送られてきた。礼状には、似顔絵の感想が書かれていた。身体の向きと顔の向きがちょっとおかしいとか書かれていたように思う。ちゃんと批評なさってくれていたのである。早速いただいた本のお礼と似顔絵のお詫び?の手紙を送った。その返事がまた来た。詫びて貰うような意味の感想ではなく、似顔絵の額は部屋に飾ってあるから安心してくれてよい、とまたまたお気遣いの返事だったのである。
(2010年86号掲載)