トリガーポイントとは?
トリガーポイントという言葉は聴きなれないかもしれませんが、実はほとんどの方の身体にはこのトリガーポイントというものが存在しています。肩こりなどをお持ちの方でしたら、このような経験をお持ちではないですか?自分で押してみた時に、凝っていると思っていた場所から案外離れた場所がズーンと響いて気持ちよかったこと。またマッサージを受けるのが好きな方でしたら「そこそこ!」という場所を押してもらうと、痛いけれど気持ちの良いズーンという感覚が身体の奥や周りへ響くという感覚を経験したことがあるかもしれません。
このような感覚を起こすポイントをトリガーポイントといい、おもに筋肉を包んでいる筋膜という組織に形成されるポイントのことで、このポイントが原因となり様々な痛みやコリなどのつらい症状を引き起こしているのです。
そしてこのトリガーポイントはつらいと思っているところとは離れた位置に存在することがしばしばあります。(たとえば坐骨神経痛のような下肢の痛みの原因がお尻の筋肉に存在するトリガーポイントにあったなど)
このような現象を「関連痛」と呼ぶのですが、これは皮膚よりも深部にある感覚のセンサーの数が少ないために、筋などの深部の痛みの位置を脳が誤認するために起こるのではないかといわれています。
こういったことから、色々な痛みがこのポイントを引き金として発生しているのではないかと考えられるのです。つまり、皆さんのつらい症状、肩こりや腰痛、手足のしびれなどはもちろん、それだけでなく神経痛や関節の痛みなどもこのトリガーポイントが原因になっているものが数多くあるのです。
最近の研究では、超音波などの画像でもトリガーポイントの存在が確認され、医療機関でもトリガーポイントに対する注射などが取り入れられています。当院ではその方の症状の原因となっているトリガーポイント(責任トリガーポイント)を的確に検出し、鍼・マッサージで治療していきます。このトリガーポイントを刺激することにより、痛み、コリ、しびれなどが解消するだけでなく、自律神経のバランスが整えられ、また血流が改善することにより内臓器などの身体の様々な機能も向上します。以上がトリガーポイントについての簡単な説明です。以下に適応となる諸症状を列記しますので参考にして下さい。
トリガーポイント治療が奏功する諸症状
運動器の症状
全ての慢性痛(腰痛、肩こり、膝・股関節などの関節痛、腱鞘炎、ムチ打ち症など)、スポーツ障害、可動域の低下、歩行障害など
神経系の症状
神経痛、自律神経失調症、頭痛、不眠、めまい、顔面神経麻痺など
食欲不振、便秘、緑内障、眼精疲労、耳鳴りなど
その他
更年期障害、冷え性、生理痛、免疫力の向上など
トリガーポイントができるとどうなるの?
過敏化してしまった感覚のセンサー(受容器)は、過敏化したそのこと自体では悪さはしないのですが、そのセンサーの存在する筋膜や筋肉の中の血液循環が悪くなると過敏化したセンサーがさらに興奮し悪さをするのです。(この循環不全、すなわち血液がたりない虚血という状態を内因性刺激と呼びます。)その悪さとは、興奮したことによりセンサーが過敏になりすぎたり、また発痛物質などを放出することにより、さまざまな痛みやしびれなどを発生させることです。またトリガーポイント形成局所の交感神経の活動が高まるため、近くの内臓器の働きが低下することもあります。
トリガーポイントはどこにできるの?
おもに、筋肉を包んでいる膜である「筋膜」に形成されます。(他に腱、靭帯、関節包といった軟部組織にもできます。)筋膜の構造が何かの原因で壊され、筋膜に存在する感覚のセンサーが過敏になってしまうのです。(それを感作構造と呼びます。)
トリガーポイントはどうしてできるの?
感作構造は怪我や事故などの外傷による大きな筋肉の損傷で形成されるのはもちろんですが、みなさんが「スジちがい」と呼んでいるようなわずかな筋の損傷でも形成されます。また反復動作や同じ姿勢の継続などによる筋肉のオーバーユースや老化なども形成される原因となります。しかし、感覚のセンサーが過敏になっているこの状態だけでは、トリガーポイントが形成されたというだけで、まだ痛みを発したりはしていません。この状態を「潜在性トリガーポイント」と呼びます。この潜在性トリガーポイントが血液循環の不全状態にさらされると、過敏になったセンサーがさらに興奮することにより、痛みなどの症状を発するのです。このようにセンサーが興奮し、症状を発している状態を「活動性トリガーポイント」と呼びます。そしてその症状がその方の主訴と一致している場合「責任トリガーポイント」と呼ぶのです。
トリガーポイントができてしまったらどうすればいいの?
まず、興奮してしまったセンサーを沈静化させることが一番即効性があります。それには鍼治療が最も適しています。中枢(脳)と末梢(筋肉)の両面からセンサーの興奮を沈静化させるのです。そして、局所の血液循環が悪くなることにより悪さをしてしまっているのですから、治療効果をより永続的なものにするためには、血液の流れを改善してあげることが必要です。血流を改善するには、鍼以外にはマッサージやストレッチが効果的です。また、あたためたり、軽い運動をすることもいいでしょう。トリガーポイントが形成されている筋肉は「拘縮」といって縮んでしまっており、それにより毛細血管も圧迫されているので、鍼やマッサージといった物理的な刺激を加えることにより縮んだ筋肉を伸ばし、血管を拡張させ、血流を改善させる必要があります。それによりトリガーポイントを不活性化させ痛みなどを取り除くのです。さらに何回か治療を続けていくうちに、新しい筋組織や毛細血管が再生されて正常な状態に戻っていきます。ですから単に痛みを止めるだけの注射や鎮痛剤といった方法と異なり、根本からしっかりと治せるまさに「治療法」といえるでしょう。
トリガーポイントは治療した後は再発しないの?
一度形成されたトリガーポイントは完全に消失することはありません。それは過敏化し、さらに興奮したセンサーの興奮状態はおさまりますが、過敏化したというそのこと自体は元の状態には戻らないだろうという意味です。しかしセンサーが過敏化したままであっても、筋肉の中の血液循環の状態が良好ならばそのセンサーが悪さをすることはありません。しかし、再び疲れがたまったりして、筋肉内の血液の流れが悪くなったりすれば、不活性化していたトリガーポイントが活性化してきます。活性化すると再び痛みなどの症状が出現してきます。これはあたかも不活性化したトリガーポイントは休火山に、活性化したトリガーポイントは活火山に例えられるかもしれません。活火山にしないことが大切です。そのためには筋肉内に疲れをためすぎないように気をつけましょう。具体的には、反復動作などで筋肉を酷使した場合にはその後ストレッチなどをしてケアをする、半身浴などでよくあたためるということです。また同一姿勢や偏った体勢、動作などを続けすぎないように途中で軽い体操などをすることなども必要です。大事なことは筋肉内の血液の流れを悪くしないようにすることです。ですから冷えや過度のストレスなども要注意です。しかし何といっても車をメンテナンスするように、体も定期的にケアすることが一番だと思います。