オリジナル創作絵本。自分にできることを、一生懸命やろうよ。オンリーワンでいいじゃん。
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オリジナル絵本2

自分にできること。自分の力を大切にしよう。人真似じゃない、自分らしさ。オンリーワンの素晴らしさを、見直そう。

++ 組長室 ++

自分にできる事を、一生懸命やろうよ。人まねじゃなくていいんだよ。


大きな山の向こうでは、 お空の雲が、何日も何日も泣き続け、
草むらにはいくつもの大きな水溜りができました。
「おーい、そんなに泣いてばかりいると、僕達の住処が、水浸しになっちゃうよ」
草むらの中から、声が聞こえます。
そこには、真っ黒い体をして、ピンと触覚を立てている黒ありの、クルがいました。
「全く、あの雲の奴。いつまで泣いているんだ。」
黒ありのクルは、目を細めながら、ちょっとえばって 空を見上げました。
お空にはモクモクの真っ黒い雲。大粒の涙を、次から次へとこぼしています。
「母ちゃんに怒られたのか?ごめんなさいって言ったのか?」
クルは、さっきお母さんに叱られたばかりだったね。
お空の雲は、何も答えません。
「勝手にしろ!泣き虫雲め。」
クルは、ずんずん歩いて、巣へ帰って行きました。
水溜りがまた、大きくなっているように思いました。
その夜、お空の雲たちは、大声を上げながら一斉に泣き始めました。
いくつもいくつも、雲が集まり、 ゴンゴロゴンゴロ ドカドカ ドカーン
お空は、ピカピカ お日様くらい眩しく光っています。
次の朝も、夜も、また次の日も、 お空の雲たちは大声で泣いています。
何日過ぎた頃でしょう。 川が溢れクルの住処に水が流れ込んできました。
「大変だ!大変だ!」
クルは、触覚をピクピク動かして、 お母さんの所へ走り出しました。
その時、大きな大きな音がして、クルは突然飛ばされてしまいました。
「うわぁー!母ちゃん!!」
叫ぼうとしても声が出ません。
体が、勝手に浮き上がり グルグルグルグルまわります。
息をする事もできません。 クルは水に流されていたのです。
「苦しいよー。怖いよー。目が回るよー」
ものすごい勢いで、クルは流されています。
「僕、負けないよ!!絶対にあきらめない!!」
クルは、真っ暗闇に包まれて 遠くまで運ばれてしまいました。
ぽかぽかと暖かい光に包まれて、クルは目を覚ましました。
「イテテテテ・・・」
自慢の触覚を動かそうと思っても、痛くてうまく動きません。真っ黒の体も、泥だらけ。
あたり一面泥だらけです。 草花はみんな倒れています。 傷だらけの虫達が、泣いています。
「母ちゃんは何処だろう?母ちゃん!母ちゃん!」
クルは、ありったけの大声でお母さんを呼びました。
触覚をそっと動かして、お母さんの匂いを探すけれど、
まわりは、知らない匂いばかりです。
クルは、痛めた足をかばいながら、一生懸命お母さんを探しました。
「母ちゃんがいない・・・仲間もいない」
心細くなったクルは、とうとう泣き出してしまいました。
お腹もすいたし、喉も渇いた、 体もあちこち痛みます。
お空には、お日様が優しく顔をのぞかせています。
「母ちゃんはどこ?ここは何処なの?」
お日様は、何も答えません。
「僕、負けないよ!」泣きながらクルが言いました。
次から次へと涙が出ます。何が哀しいのか、
もう自分でもわからなくなるくらい、 クルは、泣き続けました。
「どうしたの?ママに怒られたの?」
後ろの方から、突然声が聞こえました。 クルは、涙を拭きながら、
「違うよ。そんなんじゃないよ」
と 慌てて、後ろを振り向きました。
するとそこには、見た事もない、
真っ白い女の子が立っていました。
頭のてっぺんに、毛が生えているけれど、
濡れてしまって、ペッタンコ。 体は細くて折れそうです。
「わたしの名前は、ポポ。
雨に濡れて動けなくなっちゃったの。
 お日様がやっと出たからね、 こうして体を乾かしているの」
ポポは、両手を広げて ゆっくりゆっくり回っています。
まるでバレエでも踊っているようで
クルは、泣くのも忘れて しばらく見つめていました。
お日様の光は、キラキラと優しくポポを照らします。
ペッタンコだった頭のてっぺんの毛は、少しずつ、フワフワに広がっていきました。
真っ白なその綿毛は、お日様の光を浴びて、美しく輝きます。
ポポは、ふわりと空に舞い上がりました。
「やっと、乾いたわ。あー軽くなった」
ポポは、嬉しそうにクルに微笑みかけました。
クルは、大きな石に腰掛け、眩しそうにポポを見上げました。
「ここは何処なんだろう? 僕、どうしてここにいるんだろう」
クルは、お空を見上げて、独り言のようにつぶやきました。
「ここは、タンポポの里。 この丘全部タンポポが咲くのよ。
今はもう、みんな綿毛になって、 タンポポの花は、なくなっちゃった。
今はいろんな花がたくさん咲いていたの。
そしたら、すごい雲が来て 大雨を何日も降らせてね。
このあたり、海みたいになったのよ。
あなたも、流されて来たんじゃないの?
1人できたの?誰かと一緒なの?」
ポポは、早口でそう言いました。
「あなたは黒ありの子ね。何処から来たの?」
「クル。僕、クルって言うんだ。」
早口のポポにつられて、クルも思わず早口になりました。
クルの触覚がピクピク動きました。 クルは、何かを見つけたようです。
小さな木の実を見つけて、それを拾い上げました。
「僕、お腹すいちゃって、ポポも食べる?」
クルは、小さな木の実をポポの方へ差し出しました。
「ありがとう。でも私はお日様の光だけでいいの。 食べる事は、できないのよ。」
ポポは、ふわりと体を浮かせて言いました。
「何も食べないの?お腹空かないの?」
クルは、びっくりしてポポに尋ねました。
「そうよ。お日様の光があればいいの。
素敵な場所を見つけて、そこに根を張って
そしたら、土から栄養をもらうわ。」
ポポは、フワフワと体を浮かばせながら
お日様を見つめて答えました。
クルは、小さな木の実を食べ終わると、
体に付いた泥を綺麗に拭き取り、
ていねいに、触覚の手入れをして、 真っ黒な体に戻りました。
「クルって、黒く光って綺麗だったのね」
ポポは、ふわっと下りてきて、クルにそう言いました。
ポポは、少し元気になったクルに、大雨が降り続けた事、 嵐になって川が洪水になってしまった事、
水に押し流されて 草花が全て同じ方向に倒れてしまった事を話しました。
まわりには、シクシクと泣き声がたくさん聞こえます。
クルは、体ごとグルグルグル回りながら、 真っ暗闇に飲み込まれた事を思い出しました。
「母ちゃん、大丈夫かな」
クルは、心配そうに、ポツリと呟きました。
ポポは、ふわりと体を浮かせ、 美しい声で歌い始めました。
クルは、目を閉じてポポの歌を聴いています。
なんだかクルは、自分もフワフワとお日様の光を浴びて
浮かんでいるようなとてもいい気持ちになり、
いつの間にか眠ってしまいました。
青い空には、優しいお日様の笑顔。
泣き虫雲の姿はもう何処にもありません。
ポポの綿毛と同じような ふわふわの雲がゆっくり流れています。
どれくらい眠っていたのでしょう。 クルは、話し声で目が覚めました。
寝ぼけながら声のする方を向くと、大きな羽の付いたアゲハチョウと
背中におうちをしょったカタツムリとポポがいました。
「どうしたの?」 寝ぼけ声のクルが声を掛けると、
ポポはいつもの早口で、
「みんな嵐から逃げて来たんだって」
「おうちも何もわからないんだって。クルと同じね。」
と ふわりとクルのまわりを回りました。
大きな羽をヒラヒラとさせながら、
アゲハチョウのリーが言いました。
「お花はみんな倒れてしまって、蜜が飲めないの」
カタツムリのカールは、ゆっくりと
「おうちの中に隠れていて、助かったんだよ。
でも、ここはひどい所だなぁ・・・」 と、つぶやきました。
ポポは、綿毛をいっぱいに膨らませて
高い所まで浮かび上がり両手を広げて
くるりと一回りしました。 「心配ないわ。周りをよく見て!」
ポポは、クル達にそう叫びました。
クル達は、思いっきり首を伸ばして周りを見ました。リーは、ポポの所まで飛んで行きました。
嵐に押し流されそうになって、倒れていた草花が、お日様の光を浴びて、少しずつ起き上がっています。
泥だらけになり、傷だらけになっている草花達が、フルフルと、体を震わせながら、
一生懸命に起き上がろうとしています。
「頑張れ!負けるな!ほらっ、もう少しだ」
クルは、思わず大きな声をかけました。
お日様は、いっそうキラキラと輝き、
暖かい、優しい光を放ちます。
「みんなで、助けてあげようよ!!」
クルが、叫びました。
そして、自慢のあごで、草花達の上にかかった砂利を
ひとつずつどかし始めました。
力自慢のカタツムリのカールは
なかなか起き上がれない草の茎を、
背中のおうちで そっと押してあげました。
大きな羽が自慢のアゲハチョウのリーは、
ヒラヒラと羽を動かして、優しく花達をあおぎました。
水に濡れ、下を向いていた花たちが、次々に上を向き始めました。
みんな、泥だらけになり、頑張っています。
だけど、クルがいくら砂利をどかしても、 まだまだ砂利は減りません。
カールが、いくら押してあげても、 まだまだたくさんの草達が、起き上がれずにいます。
リーがいくら、あおいでも、 小さな花たちは、まだまだたくさんあります。
クルは、もう力が入りません。カールは、へとへとに疲れています。
リーも、もう羽を動かす事ができません。
「僕、負けないよ。あきらめるもんか!!」 クルが、大きな声で叫びました。
「わたしには、自慢のあごも、力も、羽もないわ」
「わたしは、何もできないわ」
ポポは、なんだか悲しくなりました。
「ポポ、真似っこじゃなくていいんだよ」
クルが言いました。
「ポポにしかできない事があるはずだよ」
カールが言いました。
「ポポの一番得意な事でいいのよ」
リーもポポに声を掛けました。
「わたしにできる事・・・
わたしの得意な事・・・そうだわ!」
ポポは、綿毛を大きく広げて高く舞い上がり、
そして、タンポポの里に響き渡る声で歌い始めました。
その歌声は、とても美しく、みんなとても気持ちよくなりました。
ムクムクと、勇気が出て来ました。ワクワクと、希望も出て来ました。
ポポの、歌声は、みんなに元気を与えてくれました。
いつの間にか、たくさんの虫達が、クルと同じように 、草花達が起きるのを、手助けしています。
しょんぼり悲しそうに泣いていた虫達が、みんな力を合わせています。
大きな石ころをどかしたり、土を掻き分けたり、 みんな、自慢の道具を使い、技を使い、
頑張れ、頑張れと 声を掛け合っています。
みんな、自分にできる事を、 一生懸命頑張っています。
1人で運べない砂利だって、 仲間と力を合わせれば、
運ぶ事ができます。
1人で起こせない、草だって、 みんなで、力を合わせれば、
起こす事はできます。
みんな泥だらけになり、傷だらけになり、
それでも、誰も休もうとはしません。
「僕、負けないよ!諦めないからね!!」
クルが、また言いました。
そして草花達も、自分の持っている ありったけの力を出しました。
お空のお日様が、 向こうのお山に傾き始めた頃、
流されて迷子になったクル達と、 ポポの歌声のおかげで、
タンポポの里は、 今までと同じ綺麗な花畑に戻りました。
お空は、きれいな夕日に染まっています。
みんなは、泥だらけになったけれど、 なんだか、とっても嬉しい気持ちでいっぱいです。
ありがとう ありがとう
あちらこちらから楽しそうな 笑い声が聞こえて来ます。
ありがとう ありがとう よかったね よかったね
クルは、すごく嬉しくなりました。
「ほらね、僕、負けなかったよ!」
「僕、あきらめなかったよ!!!」
そして、お山の向こうに沈みかけた 大きな大きな、お日様に、
「ありがとう!!また、明日ね!!」
と 、大きな声を掛けました。
「よし、明日は母ちゃんを捜しに行くぞ!」
おしまい
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