オペラの感想

<パラード・MET・3/8>

一番安いランクのファミリー席。オペラグラスを使わないときついが、NHKホールほどでもない。
OperabaseのHPには、「テレジアスの乳房」「子供と魔法」と載っていたが、METのHPには「パラード」と載っていた。「パラード」って、何だろう?と思ったら、サティの音楽を使ったバレエのことだった。今回は、この3作をやるということらしい。指揮はレヴァイン。セットも大きく変えるということはしないで、マンガチックな演出のまま。サーカスを題材にしていて、ピエロやコロンビーナなどが踊っている。休憩もなく、プーランクの「テジレアスの乳房」を観る。私のネット仲間でプーランクが好きな人がいて、先日その人が亡くなったというので、お悔やみの気持ちも込めて見ることにした。有名な風船が飛んでいく場面だが、風船は乳房の形はしていなくて、赤と青の風船が1つずつだった。7つのゆりかごから出てくる赤ん坊もこっけいで可愛らしい。それにしてもフィナーレが「皆さん、子供を作りましょう」とはあまりにも率直。
「子供と魔法」は、私は火の役を歌うというルース・アン・スエンソンに期待していた。でも、火を歌うのはオリガ・マカリナで、スエンソンは火ではなくて、絵本のお姫様の役でした。子供役だけが舞台上で歌を歌っていて、バレエ・ダンサーばかりで、歌手は舞台脇にいるか出てこない。せめて彼女の顔をまじまじと見ておこうと思ったけど(ファミリー席のくせに)、舞台上に出てきたのは、黙役のバレリーナで、バックで歌っていた。カーテンコールの時も、彼女らしい人が出てきたけど、仮面をつけていたから確認できなかった。

 

<ポーギーとベス・ニューヨークシティオペラ・3/9マチネ>

アメリカの作曲家による英語を原語とするオペラであるにもかかわらず、シティ・オペラの上には、字幕がついていた。貧しい黒人たちのコミュニティーが背景であるこのオペラの英語は、必ずしも正しく格調高い英語を使っているわけではない。口語、俗語はもちろんのこと、たとえば、有名な愛の二重唱の「ベス、お前は俺の女だ」も"Bess, you is my woman"になる。なぜか二人称なのに、"is"を使ってある。字幕もその通りに出ている。つまり字幕は、歌詞をそのまま載せているだけのことであるらしい。METより知名度の高い歌手が出演しているわけではないようだが、それほど質が低いとも思えない。
METの演出は、結構、オーソドックスで保守的なものが多い。それに比べ、こちらの方が前衛的だと言われているが、題材が題材だけに、意外にオーソドックスでした。でも、トスカの写真のパネルがロビーに貼ってあったが、トスカの衣装はどうみてもナポレオン時代のものではなさそう。20世紀初頭あたりの服装みたい。
ここのお土産は、なかなか面白い。マンガチックな芸術家のイラスト入りで「カフェ・モニュス」というロゴの入っているTシャツなんかが売られていたりして。でも、ニューヨーク・ステート・シアターって、シティ・バレエの方が有名だし、舞台とか演目もそっちのほうに力を入れているような気がなんとなくした。

 

<戦争と平和・MET・3/9ソワレ>

この旅行のメインとなった演目。キーロフと共同で上演したらしい。全くのキーロフの引越しオペラというわけでもない。合唱や脇役の中にはロシア人以外もいたし、アメリカのバス、サミュエル・レイミーがクトゥーゾフ将軍という主要な役についている。何しろ、ホロストフスキーとレイミーが出ているし、日本では滅多に上演されない大作だから。席も一番高いオーケストラ席にし、おめかしして行った。前から4番目のD列だったが、舞台が丘のように盛り上がっているので、舞台の奥がよく見えない。それでも、アンドレイ扮するホロストフスキーがクトゥーゾフ将軍のレイミーの頬にキスする場面があるので、ファンにはたまらないだろう。ナターシャは、アンナ・ネブレスコで、可愛らしい感じの美人だった。
今のアメリカのご時世に、アメリカから戻ってきたプロコフィエフがソ連共産党の干渉を受けながら作ったという反戦オペラが上演されるというのも、すごいと思う。
演出も、豪華な舞踏会、戦争の時の緊迫感、民衆の反戦合唱と、迫力満点だった。8時開演で、終了したのが午前様だったし、それほど有名なオペラでもないから眠っていた人もいたのは確か。でも、私はずっと圧倒され続けていて、観る価値は十分にあったと思った。

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