Ljubov k trjo apelsinam

(カルロ・ゴッツィ原作/プロコフィエフ作曲)

あらすじ

プロローグ

観客たちは悲劇派と喜劇派に分かれ、上演するオペラの演目について言い争っている。幕の中から道化が現れ、病気の王子の物語を上演すると言う。

 

1幕

臣下たちは、うつ病の王子の健康を心配している。彼が救われる方法は、笑わせることだと医師は説明するので、笑わせようと、宴会を開こうとするが、権力を狙うレアンドルは煮え切らない。

一方、レアンドルの保護者の魔女ファタ・モルガーナは王の保護者チェリオにトランプで勝つ。
王の姪、クラリーチェはレアンドルに、もしも王子が死んだら、自分は王位継承者なので、結婚して王位につくようにと言っている。王子を笑わせるための仮装舞踏会の人達が通りすぎるので、もしも笑ったら病気が治って、王位をあきらめなくてはならないという不安を話していると、隠れていた黒人の女奴隷スメラルディナが、レアンドルにはファタ・モルガーナがついているから心配ないという。3人はファタ・モルガーナに救いを叫ぶ。 

2幕

王宮の道化トルファルディノはなんとか王子を笑わせようとしている。そこへ隠れていたファタ・モルガーナが出てくると転んでしまう。それを見た王子は笑い、病気が治ってしまう。怒った彼女は王子に「3つのオレンジに恋をする」という呪いをかける。たちまち王子は3つのオレンジに恋焦がれ、トルファルディノを供にして王が止めるのも聞かずに旅立つ。

3幕

チェリオのアドバイスのもと、王子とトルファルディノは料理女を騙し、3つのオレンジを盗んでくる。2人はだんだん大きくなってきているオレンジを引っ張りながら砂漠をさまよっている。王子が疲れて眠っていると、喉が乾いたトルファルディノは2つのオレンジを切るが、いずれも王女が出てきて、水を求めながら死んで行く。王子が目がさめると、死体をたまたま通りがっかった兵士に運ばせ、残りのオレンジを切るとニネッタ王女が水を求める。そこへ道化が水を持ってくるので、彼女は助かり、王子と愛し合い、結婚を誓い合う。ニネッタは王宮へ行くための服を持ってきて欲しいと頼み、1人になったところへ、スメラルディナが針で彼女を鼠にしてしまい、戻ってきた王子や王の一行に自分がニネッタ王女だと言い張る。

4幕

ファタ・モルガナとチェリオが言い争っていると、道化たちがファタ・モルガナをおだてるようにおびき寄せて閉じ込めてしまう。

王子とスメラルディナの結婚式が行われようとしていると、大きな鼠がやってくる。チェリオの魔法によって、その鼠はニネッタ王女に戻る。王子は彼女こそが妃になる女性だと言うと、スメラルディナとレアンドル、クラリーチェに死刑を言い渡す。逃げ出そうとする彼らをファタ・モルガーナは連れ去る。一同は王子の結婚を祝福する。

 

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ストーリーそのものは、童話っぽいところ、黒人の奴隷を悪者にしているところなど、20世紀の魔笛というべきでしょうか?いずれにせよ、「戦争と平和」や「セミョーン・コトコ」のようなプロコフィエフの他のオペラにはあまりないタイプです。プロコフィエフに限らず、他のロシア・オペラでもなかなか見られませんよね。なぜ、プロコフィエフがこのようなオペラを作ったのかというと、彼はアメリカへ亡命していた時だったからです。これはストラヴィンスキーの「放蕩者のなりゆき」も同様です。このオペラの原作者もロシア人ではなくて、イタリア人。初演はシカゴ・リリック・オペラです。後に、ソ連へ帰った彼はソ連共産党の干渉を受けながら、「戦争と平和」のような作品を作るようになります。

ストーリーは大人が見るにはかなりメチャクチャ過ぎます。料理女をリボンで騙してオレンジを手に入れるなら、王子なんだから金や宝石で彼女から買えば良かったじゃない?1人目、2人目の王女は喉が乾いて死んで、3人目の王女がたまたま道化師がバケツに水を持ってきたから助かったというのなら、オレンジを切る前に持ってきてあげれば良かったじゃない?なんで、砂漠で一人でいるニネッタ王女をスメラルディーナは襲うことができるの?どうやって、ついて来たの?オペラにはよくズボン役という男装した女性が歌う場面があります。しかし、このオペラは逆です。料理女を歌うのは女装したバス歌手です。

このオペラを童話という面もありますが、王子の精神の克服という面にも着目できます。『魔笛』にもよく似ています。彼は最初、病弱で鬱でした(蛇であっけなく気を失ったタミーノのように弱々しい)。ところが、ふとしたことで笑い、病気が治ってしまいます。その後、彼は恋するオレンジを見つけるために、欲望に忠実な供を連れて砂漠を旅します(これもタミーノそっくり)。彼の邪魔をするのは、権力を狙う女性や、横恋慕の黒人奴隷。『魔笛』が好きで、現代音楽が苦手という方はぜひ、挑戦して見てください。他の現代モノのように社会の醜さをむき出しにしようというわけでもなければ、暗い題材を使っているということでもありません。音楽はユニオンで演奏される2幕の行進曲がとにかく有名です。

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