Die drei Pintos

(テオドール・ヘル台本/マーラー&ウェーバー作曲)

あらすじ

1幕

若い貴族ガストンは、サラマンカの大学を卒業後、役人になって妻を見つけるつもりだと召使アンブロジオや下宿屋に言っている。ガストンに恋をする下宿屋の娘イネスにも、興味がなく、むしろせいせいすると思っている。

一方、ピントという太った野暮な田舎貴族の青年が、親の決めたクラリッサという婚約者のところへ行くために、マドリッドへ向かおうとしている。彼と知り合ったガストンはアンブロジオを女装させ、裏声を使わせて、ピントに女性の口説き方をでたらめに教える。ピントのさえない様子を見たガストンは、彼を酔いつぶさせて結婚許諾書を盗み、自分がピントとなり、彼の婚約者を口説こうとする。

2幕

ドン・パンタローネは、娘クラリッサと友人の息子ピントとの婚約を公表し、周囲から祝福されるが、クラリッサ自身は会ったこともない人と結婚するなんて…と悩んでいる。彼女は女中ローラの計らいで、恋人ゴメスを部屋に入れ、ピントを追い払おうと相談する。

3幕

ラウラ達はクラリッサの結婚式の準備をしている。そこへアンブロジオを連れたガストンがやってきて「ピント」と名乗ると、ゴメスが現れてクラリッサを愛しているといい、決闘になりそうになる。本当にクラリッサがゴメスと相思相愛であるということを知ったガストンは身を引こうとする。

そこへ本物のピントが現れて、自分こそが婚約者であるというが、パンタローネはガストン・ゴメス・ピントのうちどれが本物の婚約者なのかわからない。ピントの素性がわかっても、彼はガストンから教わったやりかたでクラリッサに求婚しようとするので、周囲から顰蹙を受けて放り出されてしまう。クラリッサは恋人ゴメスとの結婚を認めてもらい、周囲から祝福される。

 

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ウェーバーの未完であったこの作品を仕上げるようにと、ウェーバーの孫カールに依頼されたマーラーは、カールの妻マリオンに恋をし、2人で駆け落ちの相談までしていたそうですが、結局彼女は現れず恋は破局してしまったという話が残っています。この悲恋の経験を元に、マーラーはゲーテの悲恋体験を反映した「ウェルテルに」「悲歌」「和解」の3つの詩からなる「情熱の3部作」を作曲したと言われています。「イーゴリー公」「トゥーランドット」「ルル」のような他の作曲家によって完成させられた未完のオペラと違って、筋に不自然さがないし、かえって、ウェーバーとマーラーが上手く混ざっているということでオトクな感じがするのです。

音楽を聴くと、「魔弾の射手」を思わせるようなウェーバーの男声合唱で始まります。確かに旋律はウェーバーなのですが、オーケストラの響き方が、交響曲的で、マーラーを思わせるところもチラホラ見えます。また、このオペラは重唱が多く、そのバリエーションを楽しむことができます。マヌケな男たちに囲まれているクラリッサですが、彼女が2幕で歌うアリアは地味ですが、とても美しいです(静かな歌いだしから徐々高揚していくヒロインのアリアはウェーバーのお得意なのでしょうか?)。アリアまでオーケストラが引き立たせているのです。

主役のピントのキャラクターは「ファルスタッフ」と「ドン・パスクワーレ」をたして2で割ったような感じでしょうか。ドイツ・オペラですから、イタリアのオペラ・ブッファとはちょっと違う味わいです。でも、ピントは少し可哀想な役ですよね。1幕であれだけ重要な役だったイネスは、2幕以降登場しません。彼女も一体どうなってしまったのでしょうか?しかし、最も損を見たのは、ガストンかもしれません。結婚相手を探そうとしていたのに、別の男との恋を手助けする結果を導いてしまいました。彼こそがミイラ取りがミイラになってしまったのです。

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