60e parallele

(ミヒャエル・ドイチュ台本/フィリップ・マヌリ作曲)

初演

1997年パリ・シャトレ劇場初録音

登場人物

ルディ・リンク(ウィムを追い続けている人物、Br)、ウィム・コソヴィッチ(戦犯、Bs)、アニヤ・ラーソン(MS)、マリア・ベルティーニ(S)、ウィットコプ博士(T)、スチュワーデス(MS)、空港のアナウンスの声(セリフ)

あらすじ

プロローグ

北緯60度のある空港の待合室。外の天候が悪く、全ての便が欠航か時刻変更になるというアナウンスが聞こえてくる。この空港から出発しようとした乗客たちは、皆ここで夜を明かさなくてはならない。ウィムはトイレに向かおうとする乗客たちの中に自分にとって脅威になる人物がいるのを見出し、彼の後をつける。ルディはそれを察知する。数分後、トイレからウィムだけが出てくる。

1幕

ルディは先ほど姿をくらました自分の知人のことをウィムに話かけている。
一方、アニヤは失恋のマイアミまで傷心旅行へ行こうとするマリアと話かけて食べ物を勧めるが彼女は心を閉ざしている。
学者ヴィットコップ博士は研究の成果を見出したばかりのアインシュタインの脳についての講義を控えている。
放浪癖のスチュワーデスの老婦人が奇妙な言葉を空港からアナウンスし、出発状況になり、出発する飛行機の音が聞こえてくるので、乗客たちは、ゲートに戻ろうとする。

ヴィットコップは天気の情報を調べるためにノートパソコンを取り出して膝の上に置くと、スチュワーデスがやってきて、天候は良くなるだろうと言う。
ウィムと話を続けていたルディは去る。
青いショルダーバックの忘れ物があるというアナウンスが流れてくる。やがて人々は眠くなり、眠り始めるが、ある人は暗い空港を怖がり、ある人は近くの人のステレオから流れるロック音楽が気になっていたりする。
アニアと失恋について語りだしたマリアは、話すほど別れた恋人のことは忘れられなくなり、空港から電話しようとするが、相手にはつながらない。ヴィトコップ博士もまた、夢と現実の関係について考え、自分の論説をまとめようとする。
今日はこれで、最後のアナウンスになるという空港の放送が流れる。

次第に、ルディは自分が追っている人物がウィムであることを確信すると彼を捕まえて、裁判を受けさせるためにパリへ送還しようとするが、ウィムは彼を殺して姿をくらます。
他の乗客たちは空港の待合室で眠ったままである。空港の外では嵐が猛威を振るっていた。相変わらず、マリアとアニアは失恋について語っている。

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「60度線」というオペラの題名自体、変わっていますが、北緯60度の空港ってどこだと思いますか?国際線のありそうな都市を調べてみると、最も近そうなところはオスロです。そこから少し南にあるのが、サンクトペテルブルクとストックホルム、少し北にあるところが、ヘルシンキです。

空港は、さまざまな事情がある人たちがさまざまなところへ行こうとするのに集まるところですが、天候不良という事情により、指名犯がつかまりそうになったかと思うと殺人事件を起こしたり、研究者は新たな論説を生み出したり、あるものは忘れようと思っている恋について、語りだして、かえってあきらめきれなくなります。

ベルクのような無調音楽を思わせる部分と、ドビッシーのような印象派の音楽を合わせたような音楽なのですが、電子楽器も取り入られています。電子楽器は効果音としてもその能力を発揮しますが、中にはロック音楽が登場する部分もあります。これらの電子音は、人間が歌う声やオーケストラとは意外に違和感がありません。とはいえ、現代オペラに慣れ親しんだ人でさえ、不思議な気分にさせられてしまうオペラであることには変わりありません。

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