Agrippina

(ヘンデル作曲)

あらすじ

1幕

皇后アグリッピナは夫クラウディオがドイツで戦死したという知らせを聞き、息子ネローネと野心が叶えられることを喜び合っている。

しかし、実はクラウディオは将軍オットーネに助けられたために、生き残って帰って来た。クラウディオは感謝して、次の後継者に彼を指名することを宣言する。アグリッピナは心の中では怒るが口先ではオットーネをねぎらっている。彼はクラウディオが自分の妻ポッペアを口説いているようなので心配であるということを彼女に相談する。アグリッピナはその話を利用しようと考える。

アグリッピナはポッペアの寝室へ入り、彼女に「あなたの夫は自分の妻と引き換えに皇位を狙っている。クラウディオに媚を売って、夫を貶めなさい」と言う。それを聞いて怒ったポッペアはアグリッピナと手を組んで言うことを聞く。

公然でクラウディオはオットーネを侮辱するが、彼が皇位に就くことを良く思う人はいないので誰も彼を庇おうとはしない。

2幕

まだ、オットーネを愛しているポッペアは寝たふりをして夫の気持ちを試そうとしている。夫の変わらない愛情と、アグリッピナの策略を知ったポッペアは報復する決意をする。

彼女はクラウディオには、自分が嫌だと言ったのは夫ではなくて、ネローネだと言う、そして前に夫が嫌だと言ったのは聞き違いだったのだろうという。そして、クラウディオが隠れると、ネローネがポッペアを口説こうとするので、それが真実だったということを証明する。

臣下たちはアグリッピナの策略をクラウディオに告発し、彼女は責められてしまうが、逆にポッペアを口説こうとしたことを非難されてしまう。そして、ネローネを皇帝にしようとしたこともあくまでもクラウディオのためであったと言う。

クラウディオは怒って、ネローネに責任をとってポッペアと結婚するとようにと言う。そして、オットーネには皇位を与えるという。しかし、オットーネははっきりと公然でポッペアと夫婦であれば皇位は必要ないと言い放つ。クラウディオは妻の言う通りネローネを後継者にし、占領したケルンを「コロニア・アグリッピナ」と名づけ、オットーネに駐在を命じる。

 

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こんなに丸くおさめてしまって、いいの?って聞きたくなります。特に「ポッペアの戴冠」を知っている人は違和感があるでしょう。アグリッピナとポッペアという史上に残るこのすごい悪女の2人のやり取りにぞくぞくします。特に1幕の終わりでアグリッピナがポッペアに「私たち、仲良くしましょうね」という言葉は本当にコワイです。しかし、このオペラのポッペアは「ポッペアの戴冠」のような悪女ではなくて、天真爛漫で最後まで夫との愛を貫いてしまいます。「アグリッピナに復讐してやるわ」なんて言っても、史実のようにネローネにアグリッピナを殺すように仕向けるというわけでもない。このオペラの中では、彼女はあくまでも夫との愛を貫こうとします。

アグリッピナは暴君で有名なネロ皇帝の母親ですが、元祖教育ママというべきでしょうか?ネロを妊娠していた時、「子供は皇帝になるが、あなたはその息子に殺されてしまうだろう」と占い師に言われ、「もし息子が皇帝になるのなら、私は殺されても構わない」と答えたといいます。「ポッペアの戴冠」のように、ネロはアグリッピナにしたがってオッターヴィアと結婚しましたが、結局、離婚し、ポッペアと結婚します。ポッペアの言いなりになったネロはついに自分の母親まで殺してしまうのですが、母親の死体を見たネロは「ああ、お母さんって、きれいだったんだなぁ」と言ったそうです。 ネローネは哲学者セネカの言うことを聞いていたうちはまだ良かったのですが、ポッペアの美貌に惹かれてしまってから、どんどん横暴な政治を行うようになってしまいました。アグリッピナとネローネは史上最悪な親子なのかも知れません。しかしアグリッピナもネローネを愛していたのです。そうでなければ皇帝につけようとそんなに頑張るはずがない。でもそれで誰も得はしなかったのです。
このオペラのフィナーレに釈然としない方は、ヘンデルのカンカータ「死に向かうアグリッピナ」で、悲劇で終わっているそうですので、それを聞くのもいいかもしれません。

 

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