Alceste
(原作ギリシャ神話・作曲グルック)
初演
1767年12月16日 ウィーン
1776年 4月23日 パリ・オペラ座
登場人物
アドメートス(ペライ王、T)/アルチェステ(その王妃、
S)/高僧(Bs)/アポロ(太陽神、Br)/エヴァンドロス(伝令、T)/ヘラクレス(Bs)/タナトス(死の神、Bs)/エウメールス・アスパシア(アドメートスとアルチェステの子供)/僧侶・尼僧たち/民衆/死の神々 他あらすじ
1幕
瀕死の王アドメートスに身代わりになる者がいなければそのまま死んでしまうという神託がある。それを知った王妃アルチェステは自分が犠牲になって夫を助けようとして、地獄の神々に死の国へ連れて行って欲しいと呼びかける。
2幕
王は無事回復することができたが、妻が自分のために犠牲になったことを知り、心を痛め、自分も妻と一緒のところへ連れて行って欲しいと神に祈る。
ヘラクレスが出てきて、自分が妻の命を救ってあげようと申し出る。
3幕
地獄の入り口でアルチェステとアドメートスは残された子供達の身を心配しながらも共に死の世界へ入ろうと誓い合っていると、タナトスがアルチェステの命を奪おうとする。しかしヘラクレスが2人を助ける。アポロは2人が地上で子供達と一緒に生きることを許す。民衆は2人を祝福し、王妃の人徳と聡明さをたたえる。
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もう一つの有名なグルックのオペラ「オルフェオとエウリディーチェ」とは、死んだ配偶者を取り返すために苦難を強いられ、最終的には神によって救われるという点でよく似ています。確かに配偶者の死ってとってもつらいものかもしれない。でも愛の強さで取り返せる。それって、あまりにも単純で都合が良すぎる話のようでもありますが、バカバカしさを通り越した真剣さが神から見ると人間らしいと思うのでしょう。アルチェステは神を説得しようとする勇気と威厳を持ち合わせた王妃の一面と夫や子供を愛するごく普通の人間らしい女性の部分の両面を持ち合わせています。「オルフェオとエウリディーチェ」と違うところは、子供がいるということです。理由に関わらず、親の両方、またはいずれかが自ら死を選ぶことによって残された子供はどうするのか?という現実的な問題があるのです。
このオペラは1幕の終わりに歌われるアルチェステのアリア「地獄の神々よ」が有名です。シンプルなアリアですが、ドラマンティコ・ソプラノによって歌われていて、けなげを通り越して威厳を感じさせます。歌いだしは低音が多いのですが、徐々に高音になって高揚しながらも毅然とした歌です。
死をテーマにしていますので、荘厳な合唱が多いです。特にすばらしいのは、序曲が終わってから民衆が王の回復を祈る歌です。バッハの宗教音楽を思わせて、美しく感傷的でありながらも敬虔な気分にさせられます。また、地獄の世界のおどろおどしさの表現もよく出来ていると思います。