Prihody Lisky Bystrousky

(台本・作曲ヤナーチェク)

あらすじ

1幕

森の中で、野生の動物や虫が踊っている。彼らが急に去ると、猟場番が現れ、日陰で昼寝をする。蚊がやってきて、彼の血を吸おうとする。その蚊を蛙が食べようと現れ、その蛙を子狐のビストロンシカが狙っている。蛙は驚いて飛び跳ねて、猟場番の上に飛び降りる。目を覚ました猟場番はビストロウシカを子供のペットにと、連れて帰る。

猟場番の庭で成長したビストロウシカは寂しさのあまりに泣いていると、猟場番の飼い犬ラパークが慰めている。しかし、恋の季節も孤独なラパークも本当は寂しいのだ。彼は芸術に専念してその寂しさをまぎわらしているのだという。ビストロウシカは野生の動物の恋の噂話をすると、ラパークはビストロウシカに色目を使う。猟場番の子供がビストロウシカにいたずらをして噛み付かれてしまい、女狐は逃げようとする。猟場番は再び捕まえて、縛り付ける。夜になって、ビストロウシカはまた泣いている。ラパークは人間の言うことを聞くようにと忠告する。さらに、鶏の群れがやってきて、人間に逆らってばかりで働こうとしないビストロウシカを笑い者にする。ビストロウシカは雌鶏に人間に魂を売って指揮するばかりで自分は何も働かない雄鶏から独立せよ、と呼びかけるが相手にされないので、死んだふりをして、近づいてきた鶏を次々と殺してしまう。猟場番の妻はビストロウシカを銃で殺そうとするが、逃げられてしまう。

2幕

ビストロウシカは穴熊を巣から追い出して、自分のものにする。

一方、人間の世界では、猟場番と蚊にそっくりの校長と穴熊にそっくりの牧師(神父?)が宿屋でトランプをやっている。猟場番が校長にもうすぐ結婚するのか、というと、校長は可愛がっていた狐に逃げられたそうで、と言う。夜が明けると3人は解散する。

酔っ払っている校長は、森に入ってしまっている。かつて愛していたテリンカという女性を思いだし、ビストロウシカが持っている向日葵の花をテリンカの顔だと思って話しかけている。いきなり銃声が鳴る。猟場番が女狐に向けて発砲したのだが、逃してしまったのだ。

ビストロウシカはハンサムな雄狐ズラトフシュピーテクと知り合い、互いに惹かれあう。一旦去った、ズラトフシュピーテクはビストロウシカの好物の兎を持って現れ、女狐を喜ばせて、一緒に巣に入る。まもなく、2匹は森の動物たちに結婚を公表し、彼らに祝福される。

3幕

行商人のハラシタが鶏の沢山入った籠を背負って森に現れる。ハラシタは猟場番にテリンカと結婚することになったことを報告する。猟場番が禁猟になっている兎の死骸があるのを見付けて、狐に襲われたものだと判断して、罠をしかける。雄狐、子狐と一緒のビストロウシカが通りかかり、罠を見破って、無意味なものを仕掛けた人間を嘲笑する。ハラシタがテリンカに狐の襟巻きをプレゼントしようとして女狐に鉄砲を向けるが、かわされてしまう。その間にハラシタの籠の鶏は全て子狐の餌食になってしまうが、起き上がったビストロウシカは簡単にハラシタに撃ち殺されてしまう。

再び宿屋で人間たちが狐の巣が空になっていたことと、テリンカの結婚のことなどを話している。宿屋の女将がテリンカが新しい狐の襟巻きを持っていたことを話す。

猟場番が森の中でまた昼寝をしているとビストロウシカによく似た子狐を見付ける。捕まえようとするが、狐の代わりに蛙を捕まえてしまう。その蛙は一年前ビストロウシカに狙われた蛙の孫だと言う。猟場番は自然の輪廻に感動する。

 

****************************

 

人間が動物を演じるオペラです。女狐ビストロウシカはとても人間くさい野生動物です。そもそもタイトルが「雌狐」ではなくて「女狐」と訳されていることが多いところにも、その人間くささを感じます。また、私が見た、ベルリンで作られた古い映画では、1幕の間奏曲でビストロウシカが人間の女性の姿になって、人間の男性に付きまとわれて嫌がっている映像が入っています。人間と野生動物との関わりを感じさせる珍しいオペラなのです。

主人公のビストロウシカは人間に撃ち殺されてしまいます。しかし、その死を予兆させたり、主人公の死を表現するような悲壮な音楽はなく、とってもあっけないものなのです。残された子狐や雄狐の悲しみも表現されません。

蚊や穴熊に似た人間も現れます。人間の世界で話に出るテリンカは舞台には現れませんが、おそらく、ビストロウシカによく似た女性ではないだろうか、と考えさせられてしまいます。

ストーリーの進み方は、蛙→人間に捕らえられる子狐→人間に飼われている鶏を殺す狐→人間と野生の世界の恋愛→人間に飼われている鶏を殺す狐→人間に捕えられそうになる子狐→蛙の順番になっていて、まるで鏡の世界のように話が戻っています。これも、ヤナーチェクの人間と自然の輪廻というテーマを主体にした意図がよく見えています。

recommendhome