Die Entführung aus dem Serail
(モーツァルト作曲)
あらすじ
1幕
スペイン貴族ベルモンテはトルコの太守セリムに売られてしまった恋人コンスタンツェを助けるためにセリムの宮殿の前にやってきた。宮殿の番人、オスミンに、先に宮殿の庭師として働いているかつての召使ペドリロのことを聞こうとする。ベルモンテは再会することができたペドリロからコンスタンツェは彼女の召使でペドリロの恋人ブロンテと一緒に健在でいること、セリムはコンスタンツェに言い寄ってはいるが、無理強いしていないことを話す。ペドリロはベルモンテをセリムに庭師として紹介し、宮殿に入れるようにする。
一方、セリムはコンスタンツェに言い寄っているが、彼女は「寛大な態度に感謝しているし尊敬しているが、既に心に決めた人がいる」と言って断る。脅そうとするセリムに彼女はどんな拷問も受けてみせると言う。
2幕
オスミンはブロンテに言い寄っているが、彼女はレディーファーストでなければヨーロッパの女性はなびかないだろうといって、追い出してしまう。ペドリロがやってくると、彼女にベルモンテがやってきたこと、4人で逃げられることを話し、オスミンに睡眠薬の入った酒を飲ませる。ペドリロとブロンテは大喜びでベルモンテとコンスタンツェを再会させる。
3幕
4人が逃げようとすると、オスミンに見つかってしまい、捕まってしまう。セリムはかつての敵の息子がコンスタンツェの恋人であったことを知るが、あえて寛大に許すことにする。ベルモンテとコンスタンツェははセリムに感謝し、ペドリロとブロンテは悔しがるオスミンと小競り合いをしながら、船で帰ることになる。人々はセリムの寛大さをたたえる。
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ヒロインの名前を新妻と同じ名前にしたモーツァルトはこのオペラを作ったときが、最も幸せな時代であったと言われています。2組のカップルによる重唱は、「コシ・ファン・トゥッテ」を思い出させますがテノール2人とソプラノ2人の組み合わせはとても珍しいです(なぜベルモンテとコンスタンツェがスペイン人でブロンテがイギリス人なのかが不思議ですが)。また「魔笛」へと続いていくジングシュピールとなっています。
登場人物はバスのオスミンがもっとも面白いです。威張りたがりで保守的な頑固オヤジの部分とマヌケな部分が合わさっています。ペドリロやブロンテとコミカルな小競り合いをする重唱が、観る者を飽きさせません。コンスタンツェによる「魔笛」での夜の女王顔負け高音コロラトゥーラのアリアもすばらしいです。このオペラもブッファ組とセリア組に別れていて、前者がブロンテ、ペドリロ、オスミン、後者がコンスタンツェ、ベルモンテ、セリムになるでしょう。コンスタンツェ、ブロンテ、ベルモンテ、ペドリロの4重唱で、ベルモンテ、ペドリロはそれぞれコンスタンツェがセリムと、ブロンテがオスミンとの噂に嫉妬するのですが、コンスタンツェは「ひどいわ」と悲しむのと対照的にブロンテはペドリロを平手打ちして怒ってしまいます。似たような状況でありながらも、コンスタンツェとブロンテの反応の違いが、人物の個性を生き生きと描いています。
セリムはなかなかカッコいいキャラクターなのですが、せりふのみとなっていて歌いません。重要な役なのですが、適した歌手がいなかったことが原因のようです。少しもったいないような気がします。