Fiderio

(作曲ベートーベン)

あらすじ

1幕

監獄の門番、ヤッキーノは番人ロッコの娘マルツェリーネを口説いているが、あしらわれてしまっている。彼女は新人のフィデリオが好きだからである。ロッコはフィデリオにぜひ自分の婿にと言う。本当はレオノーレという女性が、夫フロレスタンを助けるために男装し、フィデリオという偽名を使っているのである。金が全てというロッコに、彼女は大切なのは信頼であると、地下牢へ連れて行った欲しいと頼む。

法務大臣フェルナンドの抜き打ち視察の情報を知った典獄ピツァロは自分の敵であったフロレスタンを不正に逮捕し、うわべでは死んだことにしておきながら、投獄していることが知られてはまずいと思い、彼を殺すようにとロッコに指示する。お人よしなロッコは拒絶すると、自分が殺すから、墓を掘るようにと命じられる。それを知ったレオノーラは怒りと勇気を奮い起こす。

2幕

食事を減らされ、死を待つのみとなっているフロレスタンの地下牢にロッコとレオノーラは入り、墓を掘ろうとする。レオノーラはなんとかフロレスタンを助けようとして、酒とパンを与える。墓を掘り終えるとピツァロがフロレスタンを殺そうとして入ってくるが、レオノーラはフロレスタンを庇って「妻を先に殺せ」という。ピツァロは二人にかかってこようとする時、フェルナンドが来たという知らせが入る。

ロッコはフェルナンドにフロレスタンを引き合せ、ピツァロの悪事を告発し、夫を守ったレオノーラの勇気をたたえる。フロレスタンはレオノーラに鎖を解かせ、ピツァロは捕えられる。

マルツァリーネはがっかりするが、ヤッキーノに慰められる。夫婦は人々に祝福される。

 

 

 

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あの厳格そうで知られるベートーベンの肖像画に相応しく、彼のまじめな性格を連想させられるオペラです。まるで時代劇のように懲悪勧善になっているし、不倫でも禁断の恋でもなく、夫婦愛がテーマなのですから。彼は何度も、この作品の版を作りました。自分の他のオペラに転用させるロッシーニとは大違いです。(確かにロッシーニは怠け者のような顔をしているとは思います)。

危機一髪というところで、不正を働く権力者よりももっと偉い人が現れて救われる、というストーリーはまるで水戸黄門のようではありませんか。

音楽も、真面目一直線なベートーベンらしいです。マルツェリーナはリリコ・レッジェロ、レオノーレはドラマンティコ・ソプラノが歌いますが、レオノーレのアリアにはコロラトゥーラの旋律も入っています。

レオノーレは夫を救うために男装して牢屋で働きますが、マルツェリーナから好意を持たれてしまいます。父親も賛成しているようですから、男装の似合うステキな女性というレベルではいけません。宝塚の男役以上に男っぽくなくてはならないでしょう。気になるのはレオノーラが男装する前の姿ってどんな感じだったのでしょうね。

ストーリーは男装して政治犯の夫を助けるという至ってシンプルなもので上演時間は2時間半程度ですが、人物関係は複雑な方かも知れません。ロッコの中間管理職的な立場が、ややこしくさせているように思うのです。権力とお金に弱いところはあるけど、根は善良でお人よしです。こんな人がどうして、監獄で働くことができるのでしょうね?ワイロの誘惑に簡単に負けてしまいそうなキャラクターじゃないですか。

 

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