Le Nozze di Figaro
(ボーマルシェ・モーツァルト作曲)
あらすじ
1幕
セビリアのアルマヴィーヴァ伯爵の結婚を手助けしたフィガロは、彼に雇われ、城内で暮すことになった。彼は伯爵夫人の侍女のスザンナと結婚する予定で、2人でその準備をしている。
伯爵はフィガロのおかげでロジーナと結婚できたというのに、スザンナにちょっかいを出していて、廃止されていた初夜権という、召使が結婚する際に領主と初夜を過ごすという権利を復活させようと考えている。一方、フィガロは女中頭のマルチェリーナに借金の返済ができないのなら、自分と結婚するようにと言われている。
おませな小姓のケルビーノが伯爵夫人、スザンナ、同年代で庭師の娘のバルバリーナを口説きまわっている。彼がスザンナを口説いているところに、伯爵がやってくるので隠れる。さらに音楽教師のバジリオの声が聞こえるので、伯爵も隠れる。バジリオが伯爵夫人とケルビーノの仲があやしいと口を滑らせて言ってしまうので、伯爵が怒って出てきて、ケルビーノまで発見される。ケルビーノは解雇され、軍隊に入ることになる。
2幕
夫の愛情を取り戻したい伯爵夫人はスザンナと伯爵を懲らしめる作戦を練っている。彼が怒っている間に、スザンナの結婚式を挙げるために、すでに伯爵のもとへ伯爵夫人が浮気をするという手紙を送っている。さらに、ケルビーノをスザンナに変装させて、伯爵を呼出してとっちめようと考えている。伯爵夫人とスザンナがケルビーノに女装させていると、手紙を読んだ伯爵が怒ってやってくる。あわてて、衣装部屋へケルビーノを隠す。伯爵が夫人を連れて合鍵を取りに言っている間、スザンナがケルビーノを元に戻して彼の身代わりになって、窓から逃がす。戻ってきた伯爵が衣装部屋を開けると、スザンナがいたので、夫人に平謝りする。庭師が窓から人が飛び降りたことを言うが、結婚の準備が整ったことを報告しに来たフィガロがそれは自分だと言う。
3幕
裁判で、フィガロはマルチェリーナにお金を返すか結婚するかという選択を迫られている。フィガロは自分は本当は貴族の子で盗賊へさらわれたと言って、腕の入墨を見せる。マルチェリーナはバルトロの間にできた自分の子だとわかるとすぐに和解し、バルトロと結婚することにする。伯爵夫人とスザンナは衣装を交換して伯爵を懲らしめようと作戦を練り直す。
フィガロの結婚式の祝いのダンスで、スザンナは伯爵に意味深な態度で夜の庭での逢引の手紙を渡す。
逢引の手紙をスザンナが伯爵に渡したことを知って、フィガロは怒ってその現場を抑えようと夜の庭へ行く。スザンナが伯爵夫人の服装をしているので、2人が企んでいることを見抜きながらも、わざと夫人を口説いているふりをして、スザンナを苛立たせるがすぐに和解する。一方、スザンナに扮した伯爵夫人を伯爵が口説いているが、夫人がフィガロと逢引をしていると勘違いしてしまい、怒らせる。しかし、今まで口説いていたのが自分の妻で、伯爵夫人だと思っていたのがスザンナであったことを知った伯爵はまた夫人に平謝りする。
****************************
「セビリアの理髪師」の続編です。モーツァルトの方がロッシーニより古い作曲家ですから、続きの方が先に出来たのか?と思う人もいるかもしれませんが、モーツァルト以前の作曲家、パイジェッロも「セビリアの理髪師」を作っています。このオペラもなかなかの出来です。
やや人物関係が複雑なわりには、人気の高いオペラです。本当は恩人の婚約者をセクハラする伯爵を懲らしめる夫人の話ですから、登場人物はフィガロ、スザンナ、伯爵、伯爵夫人のみで物語は充分なはずです。しかし、そうじゃなくて、それぞれ複雑な人間関係になるからこそ、おもしろいのです。モーツァルトのオペラは、感情移入することはできませんが、音楽は洗練されていて洒落た恋愛を描写するのに似合っています。
私が、このオペラで好きな人物はマセガキケルビーノです。ズボン役のメゾ・ソプラノが歌いますが、なかなか憎めません。屋敷中のあちこちの女性を口説いていますが、その気になってくれるのは、同年代のバルバリーナのみです。ちょっと皮肉な感じがします。それにしても、この子の将来ってどうなるのでしょうか?彼のことを「小さなドン・ファン」と書いてある本も読んだことがあるのですが、まさかドン・ジョバンニは成長して貴族に出世したケルビーノの話ではないでしょうね…?
以前観たミュージカルの「オペラ座の怪人」にもこのオペラを参考にしたのではないか、という場面があります。オペラ座で上演されるオペラの一場面として、モーツァルトっぽい音楽にロココ調の服装とセットで、伯爵夫人が浮気を隠すために相手に女装させ、浮気を疑って入ってきた伯爵に対して、一緒にいたのは侍女だったと騙す場面でした。