Procveshonni Frukti

(原作トルストイ/作曲ホールミノフ)

初演

初演年月日不明 モスクワ・シアター・オペラ

登場人物

ズヴェズジャンツェフ(大地主、B)/アンナ(その妻、S)/ベッツィ(その娘、MS)/ワシリー(定職なしの法学士の息子、T)/トルスターヤ伯爵夫人(MS)/ターニャ(ズヴェズジャンツェフ家に仕える小間使、S)/グレゴリー(下男、B)/セミョーン(食堂の下働きでターニャの恋人、T)/料理番女(MS)/農民1・2・3(セミョーンの故郷の農民。農民2はセミョーンの父親)/赤帽(T) 他

あらすじ

1幕

19歳のターニャは孤児で最近教育を受け始めたばかりではあるが、きびきびとして快活な性格で、大地主ズヴェズジャンツェフの家で小間使いとして働いている。彼女は同じ家の食堂で下働きをしているセミョーンと恋仲になっていた。一方、下男、グレゴリーは「立派に見えてはいけない」という理由でせっかく伸ばした髭を剃られてふてくされていた。彼は、ターニャを口説こうとするがかわされてしまう。ある日大地主の家に3人の農夫がやってきた。そのうちの一人はセミョーンの父親である。彼らは以前交わした約束通り、土地を売って欲しいと頼むが、大地主は知識人や貴族たちと一緒に降霊術に夢中で取り合わない。しかし、その降霊術はターニャの悪戯なのであった。彼女は農夫たちに「なんとかなる」と言って、屋敷の中にかくまう。食堂の準備室ではターニャや料理番の女が農夫3人に金持ちの生活を話して皆で嘲笑する。アンナ夫人は農夫3人を見つけると汚らしいと言って、消毒剤をかける。3人は土地を売ってもらえないことで、収穫を得ることができないことを嘆く。

2幕

ターニャが降霊術の仕掛けを作っているのを地主の娘ベッツィが見つけてしまう。ターニャが正直に訳を話すと、彼女は咎めるどころか面白がって協力すると言う。大地主は貴族や学者を呼んで降霊術を始める。3人の農夫達は見つかってしまうが、これも術のおかげだと参加者は納得する。ターニャは霊の頼みごとであるかのように地主に土地売買の書類にサインさせることに成功する。
ターニャのつれない態度とセミョーンへの嫉妬からグレゴリーはアンナ夫人にターニャのしたことを告げ口する。アンナは訴えてやると言うが、ベッツィも自分もターニャと一緒に加わっていたことを言うので、一同を唖然とする。
3人の農夫は地主に土地の代金を払い、セミョーンと一緒に村へ戻る。帰り際、農夫2はターニャにセミョーンとの結婚をほのめかす。

        

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スーブレット役のソプラノが上手に金持ちを利用して成功を収めるという古典的な西欧のオペラ・ブッファの要素と貧富の差、上流階級への風刺というようなロシア的な部分が調和されています。降霊術の場面などでは、電子楽器が使われるところもありますが、影でいたずらをするターニャとそれを本気に取る大地主の緊迫感がリアルに感じられます。決して笑えるようなオペラではありませんが、独特の世界にはまりそうになります。

アンナ夫人はヒステリックに農夫たちを汚いと言って追い払おうとしますが、その一方、社交界で夢中で苦しいのに無理やりコルセットでウエストを締め付けさせるので笑いものになっています。娘のベッツィはどんちゃん騒ぎが好きで、意地悪な性格ではありませんが、お嬢様には珍しい性格で、家や親のことよりも目先の享楽を選んでターニャのいたずらを咎めるどころか協力までしてしまうのです。しかし、一日中お菓子とピアノに夢中なあまりピアノの先生にもピアノを弾かせないという彼女もまた使用人たちの嘲笑の的になっています。しかし、労働者層といえども農民から見ると、金持ちの家に住み込みで働く使用人たちもまた違う世界の人間なのです。農民たちは旧知のセミョーンのきれいな服装を羨ましそうに見て、ターニャには「金持ちの小間使いでは農家の嫁はつとまらないだろう」と言います。しかし、彼女はあっさりと、「奥様のコルセットを締付けるのは普通の男でもできない重労働だ」とユーモアたっぷりに返します。コルセットの紐は足や体重をかけて引っ張り上げることができず、腕力だけにかかるものなのです。

このオペラの面白さには脇役が重要でもあります。ターニャの悪戯なのに、死んだ子供と再会できたことに感動しているトルスターヤ伯爵夫人、アンナ夫人に返品されてもベッツィのカゲキな服を届けようとする赤帽。それにしてもどうしてヒロインの恋人の父親という重要な立場の人物が「農民2」と呼ばれているのでしょうね。

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