La finta giardiniera
(モーツァルト作曲)
初演
1775年1月13日
登場人物
ドン・アキーゼ(市長、B)/ヴィオランテ・オネスティ(サンドリーナという庭師を名乗っている侯爵令嬢、S)/ベルフィオーレ伯爵(ヴィオランテのかつての恋人、T)/アルミンダ(市長の姪で、ベルフィオーレの婚約者、S)/ラミロ(アルミンダに恋する騎士、MS)/セルペッタ(小間使)/ロベルト(ナルドと名乗るヴィオランテの従僕で彼女と共に市長の家の使用人として住み込んでいる、Br)
あらすじ
1幕
市長は自分の家の住み込み庭師サンドリーナを口説いている。一方、下男のナルドは小間使いセルペッタを口説こうとするが、いつもあしらわれている。市長の姪アルミンダが婚約者ベルフィオーレ伯爵と一緒にやってくる。
ベルフィオーレはアルミンダを口説こうとするが、彼女は男というものは信用できないから証明書を見せろと求めるので、彼は自分の家系には歴史上の有名な英雄たちが多く存在すると言う。
サンドリーナは、ベルフィオーレがアルミンダの婚約者であるということを知ってしまう。ベルフィオーレもサンドリーナがかつての恋人ヴィオランテにそっくりなので驚く。
2幕
ベルフィオーレとサンドリーナの関係に気づいたアルミンダが怒っている。アルミンダに恋するラミロはなんとかこの結婚を台無しにしようと考える。一方、ベルフィオーレはサンドリーナの心を和らげようとするが、サンドリーナは彼を許そうとはしない。実は、ベルフィオーレは嫉妬から恋人ヴィオランテの胸を刺したことがあり、生死がわからない状態のままだったのである。ラミロの報告で、市長にベルフィオーレの過去が明白になり、もしもそれが事実なら、アルミンダとの結婚は破談になってしまう。サンドリーナは自分こそが被害者ヴィオランテであるが、命は助かり、ベルフィオーレを許すと言う。結局、ベルフィオーレは法的制裁から免れたものの、アルミンダとの結婚は台無しになる。
結婚を台無しにされたアルミンダはヴィオランテに復讐しようと、彼女を拉致させて、暗い野に放り出す。他の人物達もまた様子を見にやってくるが、暗闇の中で互いを取り違える。ベルフィオーレとサンドリーナは悲しみのあまり狂乱に陥ってしまう。
3幕
市長は姪にラミロとの結婚をすすめる。正気に戻ったベルフィオーレとサンドリーナは互いに愛を確かめあう。
結局、アルミンダとラミロ、ベルフィオーレとサンドリーナ、ナルドとセルペッタの3組のカップルが市長に祝福される。市長はまた、新しい女性との出会いを求めようと、サンドリーナから身を引くことにする。
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このオペラは前半だけで最後がどうなってしまうのかわかってしまいます。市長・ベルフィオーレ・ラミロ・サンドリーナ・アルミンダの5人の関係と、狂言まわしのようなナルドとセルペッタのカップルが登場します。モーツァルトのオペラでは働く女性というとスーブレットと呼ばれる機転が利く小間使い役が多く、大抵はヒロインである身分の高い女主人のシリアスぶりとの対比を見せるというキャラクターが殆どなのですが、サンドリーナは本来貴族でありながらも身分と名前を伏せて庭師として働いています。逆にセルペッタは典型的なモーツァルトのスーブレットです。市長から気に入られていて、貴族の身分を隠し庭師という職業を持っているのに、気が利かないサンドリーナをセルペッタは同僚としては気に入らないでしょう。アルミンダも自分の結婚をメチャクチャにされたので、恨みがあるでしょう。女性の陰険さがよく現れているというところに、現実味を感じさせます。
スーブレットではない使用人サンドリーナに苛立ちを感じ、ついアルミンダの方に同情してしまうのですが、アルミンダが婚約破棄で終わってしまうだけでは、ハッピーエンドとしてすっきりしないので、「ティト帝の慈悲」のセストを思わせるラミロという人物を付け足しています。
音楽がすばらしいのは、2幕の人違いの重唱です。ここでは、主要なソリスト全員が登場して、メチャクチャな組合せになってしまいます。ここでは全てのスプラノからバスまで全ての声域が色々なバリエーションを見せながら歌うところで、コミカルな部分と悲惨な部分が上手く絡み合っています。