Giovanna Darco

(ヴェルディ作曲)

あらすじ

プロローグ

イギリスからの侵略を受けたフランスが危機に瀕している。フランス国王カルロは降参し、退位して、責任を取ろうとする。王はせめて国民からは犠牲を出さないように祈ろうと、聖母マリアのいる森へ行こうとするが、人々はそこには魔女がいると言って止めようとする。森の中にはジョヴァンナが国のために戦いたいと祈っている。カルロが森にやってきて祈ると、天使の啓示を受けたジョヴァンナは王を励まし、父親のジャコモが止めるのも聞かずに戦地へ赴く。

1幕

イギリス軍たちはフランスに突然負けたことに唖然としている。ジャコモはカルロが娘から平凡な生活を奪った復讐としてイギリスに加担しようとする。イギリスの隊長はジャコモに魔女を捕えて火刑にせよと言う。

一方、手柄を立てたジャンヌは宮廷が自分に合わず、ホームシックにかかる。カルロはジョヴァンナを引き止め、愛を告白し、王妃にしようとするが、彼女は天使の「俗世の愛を受け入れない」という天使の言葉を聞いて拒もうとする。戴冠式に彼女を連れて行こうとするが、ジョヴァンナは悪魔のざわめきを聞く。

2幕

戴冠式を終えたカルロはジョヴァンナを称えると、ジャコモはそれを遮り、娘が邪な宗教にかぶれていると言う。民衆は魔女だと騒ぐ。カルロは民衆から守ろうとするが、ジャコモはイギリス側へ娘を連れて行く。

3幕

 改心したジャコモは牢屋でつながれている娘の鎖をはずし、再び戦地へ戻っても良いと言う。ジョヴァンナは再びフランスのために手柄を立てる。カルロがやってきて、ジャコモを許すが、臣下からジョヴァンナが致命傷を負ったことを知らされる。瀕死の彼女が担ぎ込まれると、ジャコモとカルロは許しを乞い、ジョヴァンナは祖国愛と信仰を抱きながら死ぬ。

 

 

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知名度はそれほど高くはないのかもしれませんが、ヴェルディ前期の典型的な「愛国心」「父性愛」「復讐」をテーマにしたオペラです。あまり、この作品を解説した本がないので、ジャンヌ・ダルクのことを知っていても、このオペラのストーリーの流れを知らない人は少なくないでしょう。ジャンヌ・ダルクといえば、火あぶりで死ぬいうことが、良く知られていますが、このオペラでは戦死で、王や父親に見守られながら死にます。

ストーリーの流れを知らない人はまず、国民から慕われる気高い心を持つ王であるカルロがテノールなのに、最初、違和感を感じます。カルロとは同一人物であるチャイコフスキーの「オルレアンの少女」のシャルルもテノールではありましたが、彼は新婚生活にのろけて、危機から逃げて亡命を考えるような国王としては頼りないキャラクターだったし脇役なので理解できます。しかし、カルロがテノールである理由はカンの強い人なら推測できると思います。彼はヒロインに恋愛感情を抱くのではないかと。案の定、2幕で彼は愛を告白しますし、民衆から愛する人を守れなくて苦悩します。

「オルレアンの少女」と「ジョヴァンナ・ダルコ」には共通点もあります。両方とも疑問に感じるのは、ジャンヌの父親が戴冠式で邪魔をして、あえて平凡な生活に戻すために娘を貶めようとするところです。王から娘が信頼されているのだったら、貴族並みの生活を望むことだってできたでしょうに。善良な父親であるがゆえに、娘に対する愛情が裏目にでてしまうのです。また、一度も戦地へ赴いたことのない少女が、突然、国を守る神懸りな力を身につけるには、「俗世の愛を受けないこと」という条件が天使から求められていて、結果として恋をしたために、破滅してしまうというところです。

ジョヴァンナが火刑でないことも、カルロがジョヴァンナを愛するというのもストーリーとしてはハチャメチャな感じがします。また、プロローグがついて(全体的な演奏時間の割りにこのプロローグは長すぎる)3幕まであるというのに、上演時間は2時間ぐらいなので、歴史物としては物足りない感じもします。「オルレアンの少女」はジャンヌが戦地へ赴くよりも恋をした時に恐怖心を感じるロシア的な娘になっているのに対して、こちらは、恋をあきらめても友情は続けるという点で、キャラクターとしてはフランス的でもあると思います。

 

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