Hamlet
(シェークスピア原作・トマ作曲)
あらすじ
1幕
デンマークの前王の妃ジェルトルードは、前王の弟で王の地位に着いたクロードと再婚する。母親のあまりにも早過ぎる結婚を王子アムレットは快く思っていない。彼は内大臣ポローニウスの娘で恋人オフェリに一緒にどこかへ行こうと持ちかけている。オフェリの兄ラエルトはアムレットに妹をよろしくと頼む。廷臣のマルセルは前王の亡霊を見たことをアムレットに伝えようとする。
城壁にいるアムレットとマルセル、アムレットの親友オラースの目の前に前王の亡霊が現れる。アムレットと二人きりになった亡霊は、ジェルトルードがクロードと姦通して、自分は弟に殺されたこととその復讐をして欲しい、しかし、母殺しはいけないと告げる
2幕
最近のアムレットの様子がおかしいことをオフェリもジェルトルードも心配している。アムレットはコメデイアンたちを宮廷に呼んで、王が弟に殺される芝居をクロードの前で上演させ、アムレットは狂気を装ってクロードに王殺しと罵る。
3幕
前王殺しの共謀者の中にオフェリの父親がいたことを知った、アムレットは彼女に「尼寺へ行け」と罵る。彼女に対する態度を非難する王妃は逆に夫殺しの罪をアムレットに指摘される。
4幕
農夫達がたむろしているところで、オフェリは狂乱の歌を歌い小川に落ちる。
5幕
オフェリの仇を討つために、ラエルトはハムレットに決闘を申し込む。彼女の葬儀の列がやってきて、アムレットは苦悩して自殺しようと考えるが、「王妃は尼寺へ、汝は王となれ」という霊の声によって、彼はクロードを殺害して、新王となる。
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トマはグノーとはライバル同士だったようです。ゲーテにおいては、グノーの「ファウスト」に対抗したのが、「ミニヨン」、シェークスピアでは「ロミオとジュリエット」に対して「ハムレット」です。
オペラのハムレットはバリトンなんです。ハムレットの優柔不断なイメージからすれば、テノールの方がふさわしいのではないかと思うのですが。逆にテノールの役はオフィーリアの兄のラエルトです。
全曲はあまり上演される機会の少ないものですけれども、オフィーリアの狂乱の歌は有名で、コロラトゥーラ・ソプラノのリサイタルなどで、よく単独で歌われます。狂乱で、コロラトゥーラを使う技法は、ドニゼッティやベルリーニのようなイタリアのベルカント・オペラでよく観られますけれども、トマはこの方法を用いながらも、独自のフランス的要素も上手に取り入れられています。 1幕のハムレットとオフィーリアの愛の二重唱も派手な技巧はないものの、なかなか甘美で美しいです。
「ミニヨン」でもそうでしたけれども、「ハムレット」でも原作とだいぶストーリーが変えられています。ハムレットは死なないで、最後に自分が王になってしまうのですから。ハムレットが死ぬということによって、オフィーリアに同情していた人達は満足のいく結末で、しかもオフィーリアとの悲恋が美化されるのではないだろうか?と思うのですけど、ロッシーニの「セミラミデ」を思い出させるようなストーリーになってしまっています。