Hérodiade
(フローベール原作/作曲エロディアード)
初演
1881年・テアトル・ド・ラ・モネ
登場人物
エロディアード(エロデ王の妃、MS)/サロメ(その娘、S)/エロデ(ユダヤ王、Br)/ファニュエル(占星術師、B)/ジャン(洗礼者ヨハネ、T)/ヴィテリウス(ローマ軍の大将、Br)/大司祭、使者、バビロニアの娘、パリサイ人、サドカイ人、カナン人、ユダヤの司祭、その他
あらすじ
1幕
幼い時に誘拐され、エロデ王への貢物として宮殿にやってきた美しい舞姫サロメは庭に出て占星術師ファニュエルに母親に会えない寂しさを訴える。彼女は砂漠で知り合った預言者に思いを寄せ、彼のところへ向いたいと言う。
エロデ王がサロメに宮殿に戻ってくれ、と頼もうとすると、王妃エロディアードが出てきて、自分を侮辱した洗礼者ジャンを斬ってくれと頼むが、人望の厚いジャンを恐れる王はできない。
ジャンの前にサロメが現れ、愛を訴えるが、拒絶されてしまう。しかし、あまりにも切実なので、「自分の欲望のためではなく、夢の中で愛せよ」という。
2幕 エロデ王が部屋でバビロニアの娘達をはべらせて夢想に浸っている。妙薬を吸いながら、サロメへの欲望を夢見る。ファニュエルが反乱が迫っていることを告げに来る。その反乱を煽っているのはジャンであった。
>ローマ軍の大将のヴィテリウスは民衆達にイスラエルの寺院を返すことを約束し、人気を得るが、ジャンは「お前の権力は長く続かない」という。
3幕 エロディアードは恋敵サロメと自分の星を見てもらおうとファニュエルに頼む。ファニュエルはエロディアードの娘であることを告げると、エロディアードは半狂乱で否定する。
ジャンは捕らえられてしまい、サロメはエロデ王に助命を頼む。サロメの愛する男がジャンであることを知った王は処刑することに決める 4幕 地下牢でジャンが信仰と恋の間で悩んでいる。サロメがやってきて一緒に死にたいと言い、互いに愛していると言う。その時、司祭がやってきて2人を離してジャンを処刑場に、サロメを宮殿へ連れて行く。
宮殿でサロメはジャンの助命を願うが、処刑された直後だった。サロメはエロディアードを刺そうとするが、彼女は自分こそが母親だと叫ぶ。ジャンを殺した母親の血が流れていることを知ったサロメは自殺する。 *************************** あのリヒャルト・シュトラウスの「サロメ」と同じ新約聖書の話を元にしていますが、
オスカー・ワイルドではなくて、フローベールの小説に基づいていて、信仰を通したロマンチックな純愛になっています。首は切られませんし、サロメも脱がなければ踊りもしません。サロメはヘロデ王の妃の連れ子の王女ということになっているはずですが、ここでは、幼い時に誘拐された舞姫という設定です。
聖書に登場する洗礼者ヨハネは、毛皮を着てイナゴを食べて、人々に「蝮の子よ、悔い改めよ」と言って、自分にも他人にも、かなりストイックで厳格な人のようですし、リヒャルト・シュトラウスの「サロメ」でも、そのイメージのままです。ですが、このオペラではテノールで、人並みに悩む青年のようです。
話のヒロインはサロメなのですが、タイトルロールがエロディアードなのは母と娘の宿命をテーマにしているからなのでしょう。
1幕のサロメのアリア「彼は優しい人(Il est doux, il est bon,)」は単独でも歌われるようですが、なかなか全幕で演奏されることはないと思います。場の移り変わりが多いですが、3幕と2幕ではバレエも挿入され、地下牢の場面はアイーダを意識しているので、スケールの大きい作品であると思います。