Kat’a Kabanova

(台本アレクサンドル・オストロフスキー「あらし」・作曲ヤナ―チェク)

初演

1921年・ブルノ国民劇場

登場人物

サヴェル・プロコフィエヴィチ・ヂコイ(ロシアのヴォルガ河沿いの町カリノフの有力商人、B)/ボリス・グリゴリイェヴィチ(その甥、T)/マルファ・イグナチェヴナ・カヴァノヴァー(裕福な商家の未亡人で通称カバニハ(「牝豚」の意味)、A)/チホン・イヴァニチ・カバノフ(その息子、T)/カチェリナ・カヴァノヴァー(チホンの妻で通称カーチャ、S)/ヴァルヴァラ(カバノフ家の養女、S)/ヴァーニャ・クドリヤーシ(ヂコイの部下、T)/クリギン(クドリヤーシの友人、Br)/グラシャ(カバノフ家の女中、MS)/フェクルシャ(カバノフ家の女中、MS)/群集の中の女、通りがかりの人々 他

あらすじ

1幕

モスクワで教育を受けた後、商人の叔父ヂゴイのところで働いている青年、ボリスは裕福な商家カバノフ家の嫁カチェリーナに惹かれている。彼女はカーチャと呼ばれているが、姑カバニハにいびられていて、夫チホンは母親のいいなりになっている。カバニハはチホンに母親よりも妻の方が大事なのかと難癖をつけて、わざと妻を離すためにカザンの市場へ出かけさせようとする。
カーチャは養女のヴァルヴァラの自分の娘時代の幸福な時を話し、不倫願望をほのめかす。彼女はそうした後の結末の悲劇の予感を感じて、チホンに「行かないでくれ、どうしても行くなら自分も連れて行ってくれ」と懇願するが、夫は母親に逆らうことができない。カバニハは息子を急き立てながら、嫁に横柄な言いつけをするようにと言い、チホンは母親が言うのと同じ言葉で命令する。

2幕

ヴァルヴァラはカーチャがボリスを愛しているのを察して自分がクドリヤーシとの逢引のために持っていた鍵を彼女に渡す。泥酔したヂゴイがカバニハにまとわり付くが、道徳心を持てといってあしらう。
カバノフ家の庭とその裏手の谷間でヴァルヴァラとクドリヤーシ、カーチャとボリスの2組のカップルは逢引をする。カーチャは道徳心にためらいつつもボリスを受け入れてしまう。

3幕

前幕から10日後、クドリヤーシやクリギン、ヂゴイなどがヴォルガ河のほとりのあばら家で雨宿りをしている。ヴァルヴァラがやってきて続いてやってきたボリスにカーチャの夫が急に戻ってきてカーチャが動揺していることを話す。稲妻で興奮したカーチャがやってきて、その姑と夫もやってくる。ついにカーチャは自分の不貞を告白して飛び出していく。
まだカーチャを愛しているチホンはグラシャと一緒に彼女を探している。ヴァルヴァラはクドリヤーシとモスクワへ駆け落ちすることにする。カーチャはヂゴイにシベリアへ行くように命じだれたボリスと最後の逢引をし、もはや救いようがないことを知った彼女は一人になるとヴォルガ河へ飛び込む。遺体がチホンとカバニハの目の前にあげられると、チホンは初めて「こうなったのはあんたのせいだ」と母親をなじり、彼女は「お騒がせしました」と人々に頭を下げる。

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姑に苛められている嫁が不倫に走ってしまうという話です。10日間の不貞の後、彼女は自殺しますが、そこまで彼女を追い詰めたのは何だったのでしょうか?カバニハが夫を裏切った自分をどう扱うのかということだけではなく、自分自身の道徳心が許せなかったのでしょう。ヴァルヴァラは、人妻ではないようですが、カーチャの道徳心とは正反対に要領よく切り抜けていくキャラクターです。最後のカーチャが一人で苦悩している場面でも、もう一方のカップルの「ラララ〜」という歌声が響いてきています。最後の逢引の場面でも響き続いていますが、もう一方は別れなくてならず、ボリスは去ってしまいます。それで彼女は生きていることの希望をなくするのです。
チホンは彼なりに妻を愛していたのですが、守ることができませんでした。事の始終を知った後で、彼女の死体を見て悲しみ、はじめて母親に抗議します。本当は、不貞がわかっても、やり直したかったのでしょうが、既に遅く何とも切ないです。
ヴァルヴァラとクドリヤーシの逢引の場面でクドリヤーシが弦楽器を演奏しながら、民謡的でありながら無調音楽的でもあるセレナーデの旋律が印象的です。ヴォルガ河の町を場面にしているので、音楽はロシア的ですが、そのドラマチックさに関してはイタリア・オペラのようだと思います。

 

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