Louise
(台本・作曲G.シャルパンティエ)
初演
1900年・パリ オペラ・コミック座
登場人物
ルイーズ(お針子娘、S)/ジュリアン(詩人、T)/ルイーズの母親(MS)/ルイーズの父親(B)/その他(お針子、労働者、学生など)
あらすじ
1幕
パリの労働者街で両親と3人で暮らしているお針子娘のルイーズは向かいの家の詩人ジュリアンと恋仲になっている。しかし、彼女の母親は、定職のないジュリアンとの交際を反対している。最初、娘を庇っていた父親も母親に押されて反対し、気休めのために新聞を読ませてやる。その新聞にはパリの春を伝える記事が載ってあり、彼女は「パリ」という文字に動揺する。
2幕
ジュリアンは仲間の楽団を連れてルイーズの職場の裁縫店で待ち伏せしていると、母親と一緒の彼女がやってくる。母親が去って、ルイーズが職場に入ると、窓辺で恋歌を歌う。お針子達は冷やかすが、そのうち興ざめしてしまう。ルイーズは病気を口実に早引けし、ジュリアンのところへ向かう。
3幕
モンマルトルの丘にある宿の庭でルイーズとジュリアンがパリの街を見下ろしながら一緒にいる。ジュリアンはルイーズの父親のような生き方ではなくて自由を訴える生き方を主張する。父親をけなされて不快だったルイーズもジュリアンの愛に心動かされ、共に自由恋愛に憧れる。ボヘミアンたちがやってきて、2人を取り巻いて騒いでいるところへ、ルイーズの母親がやってきて、「争うために来たのではない。父親が病気なので必ず娘を自由にするから家に戻して欲しい」と頼む。
4幕
ルイーズの父親は娘の裏切りを悲しみ、なんとか彼女を留まらせようとする。しかし、ルイーズはあくまでも恋愛の自由を訴える。ついに逆上した父親はルイーズに「出て行け」と怒鳴ってしまい、娘は外へ飛び出していく。しばらくして冷静になった父親は外で娘を探そうとするが、見つからない。彼は「ああ、パリの奴め」と嘆く。
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G.シャルパンティエはパン屋の息子として生まれ、14歳の時には工場で働きに出ていました。22歳になって、パリ音楽院に進学することができ、マスネに作曲を師事したのでした。彼の音楽は、マスネに似て、クラシック音楽というよりはちょっとノスタルジックな映画音楽のようです。このオペラはシャルパンティエが社会問題に関心を持っていたこと、工員だったときの経験も参考にて作られました。労働者層による支配者層に対する皮肉なども、このオペラには出ています。しかし、労働者層=革新的、支配者層=保守的という構造にはなっていません。むしろ、保守的なのは典型的な労働者であるルイーズの父親の方です。革新的なのは定職に就かずに自由を主張するボヘミアンです。
プッチーニ「ボエーム」でも、ボヘミアンの4人組は大家に催促されても家賃を払わない困った若者達の一面がありました。プッチーニはそれでもひたすら恋愛の甘美さを出しましたが、常識的な大人の目から見ると、社会人としては地についていない感じがするでしょう。ルイーズの父親の考えることって、別に今でも保守的というよりは常識的な感じがするのですが。ですが、芸術家を目指す人、自由恋愛を主張するような人にとってはやはり窮屈な存在なのでしょう。
音楽はいきなり跳ね上るような、まるでクイズ番組の効果音のような、旋律で始まります。これは「恋の主題」と呼ばれるモチーフなのですが、ちっとも甘美なものではありません。ところが、このモチーフは徐々に感動的になってきます。ルイーズのアリア「その日から」はフランス・オペラのアリアとしても代表的なものですが、時折挿入されるボヘミアンや労働者達の合唱も活気があって、パリの匂いがプンプンしてきます。
ルイーズは父親に怒られながら、家族の元を去ります。おそらく、彼女はジュリアンのところへ走ったのでしょう。この無鉄砲なカップルがこの後、どうなったか?必ずしも、幸せになれたわけではないようです。この先が気になる方はこのオペラの続編「ジュリアン」に挑戦してください。なお、シャルパンティエは「ルイーズ」「ジュリアン」「巷の恋」と三部作にしたかったようなのですが、「巷の恋」は計画だけで実現はできませんでした。