Manon
(プレヴォー原作・マスネ作曲)
あらすじ
1幕
アミアンの宿屋の中庭で、大蔵大臣ギヨーとその友人ブレティニ、ギヨーの愛人の3人の女優が食事の催促をしている。その宿の主人は料理を出した後、騎士デ・グリューのために馬車の座席を取っておかないとならないことを思い出す。やがて、馬車で3人の近衛兵がやってくる。その中の一人はレスコーで、従妹のマノンが後の馬車でやってくるのを待っている。レスコーは従妹の美しさに驚くが、マノンの荷物を探しに出て行く。酒のおかわりをしようとして出てきたギヨーはマノンに心を奪われ、口説いて、一緒に馬車で逃げようと言うが女優達にからかわれる。戻ってきたレスコーは兵舎に戻らなければならないので、気を付けて待っていなさいと言う。マノンは女優達の身につけている衣装や宝石を羨ましく思い、自分の修道院へ入らなくてはならない運命を嘆く。
帰省するための馬車に乗り遅れてしまったデ・グリューがやって来る。デ・グリューとマノンは一目で惹かれ合う。そこで、ギヨーがマノンと一緒に逃げるために用意した馬車で、2人は逃げる。
戻ってきたレスコーとギヨーは宿の主人からマノンが若い男と馬車で行ってしまったことを聞かされる。
2幕
パリのアパートでマノンとデ・グリューが一緒に暮していて、デ・グリューは父親宛の手紙でマノンのことを書いている。レスコーとプレティニが別れさせようとしてやってくる。デ・グリューがレスコーに先ほど書いていた手紙を見せている間、プレティニはデ・グリューの父親の命令で彼を連れ出すが、それを言わないでおいたら、自分自身の富と幸運につながるだろうと言う。マノンは富への憧れのために、デ・グリューへの愛が揺らいでいることに気付き、ささやかで幸せな生活に別れを告げる。何もしらないデ・グリューは愛を訴える。ドアをノックする音が聞こえるので、出ていったデ・グリューは父親の差し向けた連中に連れて行かれてしまった。
3幕
祭日で賑わっているのパリの遊歩道で、プレティニはギヨーにお願いだからマノンを奪わないで欲しいと頼むが、マノンのバレエ団を呼んでほしいという頼みを聞けなかったことで嫌味を言われてしまう。人々の歓声に迎えられたマノンがやってきて、有頂天になっている。デ・グリューの父親の伯爵とプレティニは旧知の仲で、デ・グリューが神学校へ入ったという話をマノンは聞いてしまう。ギヨーはプレティニにはできなかったことをしようとバレエ団を呼んでくるが、マノンはデ・グリューを思い出して、神学校へ行こうとする。
信仰の道に入る決意をしているデ・グリューの元を訪れたマノンは今までのことを詫びて、復縁する。
4幕
マノンに誘われて、賭博場にやってきたデ・グリューはギヨーに勝ちつづけるが、いかさまだと訴えられ、2人は警察に連行されてしまう。
5幕
デ・グリューは父親のとりなしで、釈放されたが、マノンはアメリカへ流刑されることとなった。レスコーが護送隊に賄賂をつかませて、マノンを一時釈放させる。デ・グリューは一緒に逃げようと言うが、弱りきって死が近いことを悟っているマノンは愛する人の元で死ねることだけで充分だと言う。最後にマノンは「これがマノン・レスコーの物語」と言って息絶える。
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原作やプッチーニのオペラと違って、アメリカへは流刑にならずに終わってしまいます。私も旅行したことがありますが、ニューオーリンズというところは、フランスの植民地だったところで、今でも「フレンチ・クォーター」と呼ばれるフランス文化を感じさせる美しい街並みが観光名所となっています。とにかく雨の多いところで、湿気も強いです。砂漠などあるはずがありません。だから、原作やプッチーニのオペラでニューオーリンズの砂漠でさまよっているというのが、おかしいと思っていました。
マスネの「マノン」よりプッチーニの「マノン・レスコー」の方がより原作には近いのですが、フランス人によるフランスが舞台の物語ですので、こちらの方がフランスの薫り高い感じがします。
マスネのマノンは、1幕のアリアでもわかるように、気まぐれな彼女の性格を大変、魅力的に描いています。そして、彼女は気まぐれですが、同時に情熱をも持っています。自ら神学校へ出向いて、かつての恋人に復縁を迫ることなど、並大抵の人間にできることではありません。彼女の欲しいものは、富だったり愛だったり、ころころ変りますが、欲しいと思ったら、、それを手に入れるためにひたむきに突っ走ります。プッチーニのマノンは、富も愛も両方手に入れようとして失敗しますが。
マスネの音楽はあまりクラシックっぽくありません。ちょっとレトロな映画音楽に近いと思います。ですので、クラシックを敬遠してしまう人にはマスネを勧めたいと私は思います。幕ごとのマノンのアリアも魅力的で、1幕の「まだぼおっとして」では彼女の性格をよく見せているし、2幕の「小さなテーブル」では、とても悲痛ですが、美しい音楽です。3幕では女王のように有頂天になっています。4幕の賭博場での弦楽器のピチカートを伴奏にして歌う歌も魅力的なのです。
この後のデ・グリューですが、砂漠の真中で一人ぼっちになってしまったのだったら、大変気になりますが、ル・アーブルでだったら、それほどでもありません。マスネはなんと続きの「マノンの肖像」というオペラを作っているのです。そこで、年老いたデ・グリューは堅物でまっとうな教師になっているそうです。人ってこんなに変るものなのでしょうかね。