Maria Stuarda

(シラー原作・ドニゼッティ作曲)

あらすじ

1幕

マリア・スチュアルダ(英語名:メアリー・スチュアート)は敬虔なカトリック信者にもかかわらず、プロテスタントの3番目の夫が2番目の夫を殺した疑いがあったために、クーデターでスコットランド女王を退位させられる。イングランドに亡命した彼女は女王のエリザベッタ(英語名:エリザベス1世)に救いを求めるが、イングランド女王の座を狙うものとして軟禁させられてしまう。

エリザベッタは臣下たちからフランス王と結婚するように言われているが乗り気ではない。彼女はイングランド貴族のレスター伯ロベルトのことが気になっているのだ。

2幕

マリアは一時的にも外にでられたことを喜んでいるが、スコットランド女王兼フランス王妃としてフランスの宮廷で華やかな生活を送っていた頃を思い出している。

エリザベッタはマリアの処置をどうするか迷っていた。しかし、ロベルトがマリアのことを愛しているのを知り嫉妬から、命乞いするマリアに対して、恋愛に溺れて女王の義務を守らなかった過去を非難し、冷たい対応を取る。耐えかねたマリアはエリザベッタに「私生児のくせに」と言い返し、怒りを買う。

3幕

エリザベッタはセシルを始めとする周囲の押しもあって、マリアの処刑許可書にサインしてしまう。エリザベッタは後悔する。しかしロベルトが恩赦を願い出ると、嫉妬から処刑を決める。

マリアは、軟禁生活から解放されることを喜び、エリザベッタの無慈悲さを嘆きながらも彼女を許すといいながら処刑される。

 

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、私個人としては恋愛に溺れるメアリーよりエリザベスの方が好きなのですが、小説、映画などではもっぱらメアリーの味方になっています。

やっぱりオペラや映画の世界ではメアリーの方がヒロインっぽくなりやすいのでしょう。才色兼備でありながら恋愛のために自滅した悲劇の女王です。エリザベッタも才色兼備ではあったのですが、それよりも政治力の方がすぐれていたのです。

メアリーは生後数日後に女王となります。王妃を6人も変えたヘンリー八世は自分の息子エドワードと結婚させようとしますが、かつてのヘンリーの后候補でありながらヘンリー嫌いでメアリーの母であるフランスの名門貴族出身のマリー・ド・ギースはそれを避けるため、アンリ2世の息子の皇太子フランソワにメアリーを嫁がせます。ヴェルディの「ドン・カルロ」のエリザベッタとも義姉妹の関係です。

スコットランドの政治はマリー・ド・ギースが摂政になって見ています。フランスでのメアリーの生活は幸福そのものでした。夫のフランソワは体も頭も弱そうな感じがしますが、メアリーは弟のような愛情を持ち、仲は悪くはありません。舅のアンリ2世もよくしてくれます。しかし、元々彼女はお嬢様でした。アンリ2世や母の実家のギース家に言い含められ、「もしも自分がフランソワより先立つことがあったらスコットランドはフランスのものになる」という書類にサインするのです。そして、イングランドの継承権も持つ彼女はエリザベスが即位したという話を聞いて自分の方が正当な女王だと言います。また、アンリ2世の后のカトリーヌ・ド・メディチの実家はイタリア・ルネサンスを保護したことで有名な財閥でしたが、貴族としての伝統は浅いものでした。彼女が愛人の影に隠れていることもあって姑の実家をバカにしていたのです。

アンリが事故死をすると、メアリーはフランス王妃になりますが、実権はカトリーヌが振るいます。その後、マリー・ド・ギースやフランソワは病死したので、メアリーはスコットランドへ帰らなくてはなりませんでした。

スコットランド宮廷にフランス文化を取り入れ、メアリーは美貌で国民を惹きつけます。イングランド女王のエリザベスと「お姉様」「親愛なる妹」と呼び合い、文通します。少なくともエリザベスの方は外交のつもりです。そして従兄のヘンリーと再婚をして、ジェームスを産みます。ヘンリーは繊細な感じのする美男でしたが、とても嫉妬深い性格で、幸せな結婚生活は長くはありませんでした。そのうち、メアリーはもっと男らしくて野性味のあるボスウエルに惹かれます。ヘンリーは突然、何者かに殺されてしまいます。それから数日後、前の妻と離婚したボスウエルとメアリーがプロテスタントのやり方で結婚するのです。このやり方はかえって宗教問題を悪化させてしまい、夫殺しとも呼ばれます。メアリーは王位を息子に譲り退位します。亡命先として、フランスはカトリックで友人も沢山いましたがかつてバカにしたカトリーヌに復讐されるかもしれません。しかし、イングランドのエリザベスとは姉妹と呼び合う仲で、再び女王になれるチャンスもあります。

エリザベスは自分のライバルが、簡単に退位させられ、自分に救いを求めていることに意標をつかれます。しかし、メアリーを受け入れたのではようやっとイングランドで解決しつつある宗教問題がよけい複雑になります。それに私生児よばわりしたことを忘れるようなエリザベスではありません。メアリーはエリザベスから女王の座を狙う者として監禁されます。メアリーは何度も赦免の手紙を書きましたが、エリザベスは会おうともしません。慎重な女王はなかなか処刑しないので、かえって精神的苦痛を与えます。息子のジェームスはイングランドの王位欲しさに改宗して母親を見捨てます。十数年の監禁生活で、イングランドのカトリックがメアリーを擁立しようとしたことを機に処刑されてしまいます。

メアリーの失敗はカトリーヌ・ド・メディチやエリザベスのように血筋は良くないが実力のある人をバカにしたことです。君主としての政治的能力としてはエリザベスの方が上なのです。それゆえ、悲劇の女王にメアリーはなってしまいました。しかし、その悲劇と美貌と恋愛にかけた人生ゆえイタリアオペラの格好のヒロインになっているのです。

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