Medea
(原作:ギリシャ神話・ケルビーニ作曲)
あらすじ
1幕
ジャゾーネは魔法を操れるコルキスの王女メデアのおかげで英雄となることが出来て、彼女と結婚したにも関わらず、離婚して、コリントの王クレオンテの娘グラウチェと結婚することになっている。人々がジャゾーネとグラウチェを祝福していると、メデアが侵入して、夫の裏切りを責める。しかし、ジャゾーネはもはや愛してはいないと彼女に言う。
2幕
クレオンテはメデアに国外追放を命じるが、彼女の懇願により、1日の猶予を与えることにする。メデアは侍女ネリスに自分の子を連れて来て、グラウチェに復讐するために魔法の王冠と打掛を彼女に贈るようにと頼む。
3幕
メデアは自分とジャゾーネの間の子を殺すべきかどうか迷っている。グラウチェが王冠と打掛で死んでしまったという知らせを聞き、復讐の成功を喜ぶが、人々が彼女の死を悲しんでいるのを聞き、子供も殺してしまう。出てきたジャゾーネに復讐が終わったと告げ、宮殿に火を放つ。
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このオペラは元々フランス語の台本で作曲されましたが、現在はイタリア語の方がポピュラーです。音楽はとても形式的で端正な美しさがありますが、メデアの愛憎の表現は劇的で迫力があります。
元々、このストーリーで、悪かったのはジャゾーネだったのです。彼は女性を踏み台にして成長しました。彼が英雄と呼ばれたのはメデアのおかげなのです。しかし、世の中から認められるようになると、もっとステップ・アップしたいと思ったのでしょうか?それとも、魔女としての力がある彼女を危険な存在だと思い、もっと気性が優しくて大人しいお嬢様を望んだのでしょうか?
メデアは復讐としてグラウチェや自分とジャゾーネの間の子を殺しながらも、ジャゾーネは殺しませんでした。彼女はグラウチェも憎んではいましたが、自分の子は愛していました。しかし、殺さずにはいられなかったのは、子供に対する愛情よりも、ジャゾーネに対する憎しみの方が大きかったのです。
クレオンテはもう少し、メデアに気を使っても良かったのではないだろうかと思います。ジャゾーネを丁重に婿として迎える一方、先妻メデアは国外追放を命じました。よっぽど危険な存在であるということが知れ渡っていたのでしょう。しかし、クレオンテの権力もメデアの魔力には勝てるものではありませんでした。まして、メデアの力で英雄と呼ばれたジャゾーネが太刀打ちなどできるのはずはないのです。グラウチェは2人も子供がいながら、憎みながら先妻と別れたジャゾーネを見て、不安な気持ちにはならなかったのでしょうか?
あらすじだけを紹介すると、メデアを残忍な魔女として見る事ができますが、このオペラのメデアの心理的表現はとても人間味があります。もしかすると、彼女はどんな女性よりもジャゾーネを強く愛していたのかもしれません。それゆえ周囲を悲劇に巻き込んでしまったのです。