Mignon

(原作「ヴィルヘルム・マイスターの修行時代」・作曲トマ)

あらすじ

1幕

ドイツの田舎に放浪中の学生ヴィルヘルムが滞在している。ジプシーがやってきて親方は一員のミニョンに踊りを強要するが、拒んでいるので、ヴィルヘルムは止めて、彼女を助ける。ヴィルヘルムは旅回りの一座の女優フィリーヌに夢中になっていて、自分のことは子供としか思っていないのをミニョンは絶望する。ミニョンには娘を失ったことで気のふれてしまった老竪琴師ロターリオが連れ添っている。ヴィルヘルムはミニョンに同情から自分と行動を共にすることを許す。

2幕

ミニョンはフィリーヌに対する嫉妬から彼女に進呈される衣装を破いてしまう。嫉妬するミニョンに同情したロターリオはフィリーヌが喝采を受けている館に放火するが、その館にはミニョンがいた。ヴィルヘルムは炎の中に飛び込んで彼女を救う。

3幕

イタリアの豪邸で、ミニョンが休んでいる。本当に愛しているのはミニョンだということに気付いたヴィルヘルムが彼女に連れ添っている。正気に戻ったロターリオが実はその豪邸の持ち主の貴族であること、ミニョンは彼の娘スペラータであることが判明し、3人は喜ぶ。

(原作通りミニョンが死ぬ場合、フィリーヌがミニョンを祝福する場合もあります。)

 

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ゲーテの原作では、ミニョンは重要な役ではありますが、あくまで脇役です。主役のヴィルヘルムは、この小説の中で多くの女性と知り合い、恋愛をします。ヴィルヘルムはマリアンネという女優との間に子供をもうけますが、誤解が元で別れてしまいます。その後、放浪生活を続け、ミニョンやフィリーネと知り合うことになるのです。ミニョンは可憐なジプシーの薄幸の少女で、恋人でも父親でもあるという目でヴィルヘルムを見ています。フィリーネはオペラと同じく魅力的で軽薄な人気女優ですが、ヴィルヘルムは彼女に対してまんざらでもない、という程度のものです。可哀想なことにミニョンは死んでしまうのです。ヴィルヘルムが結局結婚するのはミニョンでもフィリーネでもなく、自分が強盗に襲われて怪我をした時に助けてくれたナターリエという女性です。

しかし、オペラに登場するのはミニョンとフィリーヌのみです。そして、原作で主役であるはずのヴィルヘルムの印象が薄いです。ミニョンは少女の役でありながら、メゾ・ソプラノです。メゾで純情可憐な少女を表現するのは難しいですマスネの「ウェルテル」のヒロイン、シャルロットもキャラクターとして本来はソプラノの方がふさわしいのにメゾになっています。あえてソプラノにしなかったことによって、軽薄さをなくする、という作曲家の意図が見えます。ミニョンをメゾにしたことによりかえってソプラノのフィリーヌの軽薄さが浮き立つのです。

登場人物ですが、ヴィルヘルムは学生ですが、放浪生活をしています。今でも学校を休学したり夏休みを利用したりして、海外をぶらぶらしている大学生はいますよね?フィリーヌは旅回り一座の花形女優ですが、職業柄のせいか、元々の性格のせいか、媚を売るのとそれに引きつけられた男性をあしらうのが上手です。

ミニョンはそんな彼女に嫉妬していますが、フィリーヌ自身は同性としてミニョンにはさんざん嫌味をいいながらも、対等なライバルとしては相手にもしていません。その余裕の態度がかえってミニョンを惨めに見せています。

ミニョンは自分らしさでフィリーヌに勝とうとはしません。彼女の衣装をこっそり着てフィリーヌになったつもりでいます。フィリーヌを憎みながらも、ミニョンの目標は彼女に追いつくことなのです。それが観ている側から余計、ミニョンとフィリーヌの対決に苛立ってしまうところなのです。

音楽ですが、全体的に甘美なフランス・オペラという感じがします。ミニョンの歌う「君よ知るや南の国」、フィリーヌのポロネーズと呼ばれる「私はティタニア」が有名です。序曲も見逃せません。ロターリオのハープの音も美しいです。ミニョン・ロターリオのしみじみ組とフィリーヌ・ヴィルヘルムのノー天気組に分かれているといえるでしょう。

 

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