Mozart u Salieri
(プーシキン原作/リムスキー・コルサコフ作曲)
登場人物
サリエリ(Br)、モーツァルト(T)
あらすじ
1場
音楽家として成功したサリエリだったが、自分より職業音楽家としての地位は低いが後世に名を残せることができる才能を持っているモーツァルトに嫉妬している。モーツァルトが登場して、居酒屋で自分の「フィガロの結婚」のアリアをバイオリンで弾いていた老人を連れてくる。彼は何か弾くようにと言われると「ドン・ジョヴァンニ」の「ぶってよマゼット」を弾く。サリエリは不快になって彼を追い払う。モーツァルトはサリエリに最近、不眠症に悩まされているが、突然楽想が浮かんだので聞いて欲しいといって、ピアノを演奏する。サリエリは彼の才能に感動し、なぜ君は自分の才能に気付かないのか?と聞き、夕食を一緒に取ろうと「金獅子亭」に誘う。モーツァルトは妻に夜は外で取ることを伝えるために出て行く。サリエリはモーツァルトを毒殺する決意をする。
2場
金獅子亭で、2人が食事をしている。モーツァルトは実は3週間前にレクイエムの作曲の依頼を受けたが、その依頼者が名を名乗らなかったので、気味が悪く、死神のようだったと恐れている。彼はなだめるサリエリにボーマルシェの「天才と悪行は両立しない」と言う言葉を引用する。サリエリは毒を酒に入れてモーツァルトにすすめる。彼はピアノの前へ行ってレクイエムを引き出す。サリエリは涙を流し、モーツァルトは気分が優れないといって帰っていく。一人残されたサリエリはモーツァルトが引用したボーマルシェの言葉を否定する。
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モーツァルトの音楽をふんだんに使ったリムスキー・コルサコフのオペラです。一見、古典派のオペラのように間違ってしまうような錯覚も起きます。しかしながら、サリエリの苦悩の部分はコルサコフのロシアらしさがよくでています。
モーツァルトのサリエリ毒殺説は映画「アマデウス」でもおなじみですよね。それを否定する説も多く、その理由はモーツァルトよりもサリエリの方が職業としての音楽家の地位が高かったから、モーツァルトに嫉妬するはずがない、というものです。しかし、芸術家にとっては、売れて儲けられる芸術家になることなのか、それとも不遇の人生を送りながらも後世に名声を伝えられる芸術家になることとどちらが幸福なのでしょうか?
サリエリはモーツァルト以上に音楽に全力を尽くし、高い地位を築き上げました。しかし、それでも後世に名声を残すのは天才モーツァルトにはかなわないということも気付いていたのです。そういった意味では、サリエリも努力をしただけの凡人ではありません。
オペラにつきものの色めいた話は殆どなく、テノールのモーツァルト、バリトンのサリエリの男声2人のみが対話するように歌われます。テーマは恋愛ではなくて、芸術についてなのです。原作者のプーシキン、作曲者のリムスキー・コルサコフ、そして、このオペラを歌う歌手や指揮者、オーケストラの人達、演出家・デザイナーたちはどのように思ったのでしょうか?