Nabucco

(原作:旧約聖書・ヴェルディ作曲)

あらすじ

1幕

旧約聖書のバビロニア捕囚時代。ユダヤ人側には、バビロニア王ナブッコの王女フェネーナが人質になっているが、ユダヤ王の甥のイズマエーレと恋仲になっている。イズマエーレが彼女をこっそり逃がそうとしたとき、フェネーナの腹違いの姉アビガイッレが武装して押し入ってくる。彼女もまたイズマエーレを愛しているのだった。フェネーナに嫉妬した彼女は、イズマエーレにもしも自分を愛してくれるのだったら、ユダヤ民族を助けてあげようというが、拒否される。やがてナブッコがやってくるのでユダヤの司祭のザッカリアがフェネーナを殺そうとしたが、イズマエーレが止めたために、ナブッコはユダヤの神殿とエルサレムを全て焼き払うようにと命じる。

2幕

アビガイッレは実は自分が先の王妃の娘ではなくて女奴隷の子であることを知る。ベルの大司教がやってきて、ナブッコが信仰をないがしろにしていることやフェネーナがユダヤ寄りになっているので、バビロニアの玉座にふさわしいのはアビガイッレしかいない、というので彼女は野心を持つ。

ナブッコはユダヤ教に改宗したフェネーナが自分をあがめないので、自分こそが神だと宣言すると突然狂乱に陥り、アビガイッレは王冠を取り上げる。

3幕

女王になったアビガイッレはユダヤ人たちとフェネーナを死刑にしようとしている。狂乱に陥っているナブッコが娘を助けて欲しいといっても、取り合わない。

4幕

幽閉されているナブッコはユダヤの神に祈ると、精神状態が回復してしまう。そして兵士たちを連れて大司教一派との戦闘に挑む。

フェネーナを含むユダヤ人達を処刑する直前にナブッコは死刑の中止と偶像の破壊を命じる。すると偶像は粉々になり、ユダヤ人を解放する。戦いに敗れたアビガイッレがナブッコ・フェネーナ・イズマエーレに許しを乞いながら死んでいく。ナブッコは「王の中の王」と称えられる。

 

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ナブッコのモデルは旧約聖書の歴代誌下36章に書かれているバビロン捕囚時代に出てくるネブカドネツァルというバビロン王のことです。彼自身がエルサレムに攻め入って、ユダヤ人たちを奴隷にし、逆らうものは処刑して、ユダヤ教の神殿や宮殿に火を放ったのだそうです。聖書ではかなり横暴な王として書かれていますね。しかし、バビロンがペルシャのものになると、ペルシャ王キュロスがエルサレムへ帰還とユダヤ教の信仰を守ることを許したことによってユダヤ人は解放されたのだそうです。紀元前600年くらいの話です。

このオペラは、ヴェルディの出世作です。彼は初演でアビガイッレを歌ったプリマドンナと再婚します。

私は、従来のヒロインタイプのフェネーナよりも、悪役のアビガイッレの方を応援したくなってしまいます。クーデターを起こす行動力とあのインパクトのある声を聞いている限り、ぜったいアビガイッレの方が女王に向いているのではないだろうか?と思います。悪役には珍しいプリマ・ドンナのアビガイッレの声域はリリコ・スピント・ソプラノが歌う場合が多いようですが、メゾ・ソプラノが歌う「アイーダ」のアムネリスや「ドン・カルロ」のエボリ公女と同様、自分の恋する男性と相思相愛になっている女性をはるかにしのいでいる役です。最後にあっけなく死んでしまうのが、とっても悔しいです。フェネーナは本当に地味だし、イズマエーレもテノールなのに存在感がなさすぎます。

ユーフラテスで強制労働をしているユダヤ人が故郷を思う「金色の翼に乗っていけ、わが思いよ」という合唱が有名ですが、アビガイッレの行進曲も元気があります。また、アビガイッレの「私にもそんな日々があった」というアリアから王位への野心を抱く気持ちへと変って行く2幕1場も聞き所です。

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