Prodana nevesta

(スメタナ作曲)

あらすじ

1幕

春祭りで村人達が陽気に騒いでいるが、クルシナという農夫の娘マジェンカだけは浮かない顔をしている。彼女にはよそ者のイェニークという恋人がいるのだが、親はまだ顔を見た事もない地主ミーハの息子、ヴァシェクの嫁にと考えているのである。結婚仲介人のケツァルが、礼金をせしめるために、ヴァシェクが知的障害者であることを隠して、クルシナたちを口車に乗せようとしている。マジェンカが反対すると、父親は怒り、母親ルドミラは娘を庇う。

2幕

ヴァシェクがどもりであるうえ、知的障害者であることを知ったマジェンカは、彼がまだマジェンカの顔を知らないことを利用して、意味深な態度で花嫁候補のマジェンカは悪い女だから結婚するのはやめなさいと説得し、彼にマジェンカとは結婚しないと約束させる。
一方、ケツァルはイェニークに金持ちの美人を紹介するから、マジェンカと別れるようにと説得している。イェニークはマジェンカとミーハの息子を結婚させることを条件に、金貨300枚で引きうける。
しかし、実はイェニークもミーハの息子で、ヴァシェクとは連れ子同士(異母兄弟という解説書もある)で、継母と折りが合わずに家出し、軍隊に入っていたのである。このことを知っているのは、村の中では誰もいない。
村人達は結婚仲介人に恋人を売った酷い奴だと、イェニークを非難する。

3幕

ヴァシェクは両親に名前を知らない女性のことが気になっているのでマジェンカとは結婚したくないと言うが、その女性がマジェンカ自身であることがわかり、彼女の陰謀はおじゃんになる。
旅回りのサーカスの一座がやってくる。サーカス団の熊の役をする者が酔いつぶれて使い物にならないということで、花形の踊り子エスメラルダは代役を探している。彼女を気に入ってしまったヴァシェクは引き受けることにして熊の踊りの練習をする。
恋人が自分を売ったことを知ったマジェンカは悲しむが、その様子を見たイェニークはにやにやしているので、彼女は怒る。村人たちが登場すると、イェニークはミーハに家出した息子であることを話す。そして結婚仲介人に言いなりになったようにお金をもらいながら、自分がミーハの息子であることを利用し、マジェンカと結婚しようとしたことを打明け、ケツァルは悔しがる。
子供達にからかわれている熊のぬいぐるみを着たヴァシェクがやってくる。この花婿候補の情けない様子を見た村人たちやマジェンカの両親はマジェンカとイェニークを祝福する。

 

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普通、オペラでダンスが挿入されるのは、バレエであることが多いですが、このオペラは正統的なバレエではなくて、フォークダンスやサーカス(アクロバッティックな曲芸やホンモノの猛獣を登場させる必要性まではありません。まあ、ホンモノのサーカスをやってくれたら嬉しいけど)が挿入されます。スメタナのオペラといえば、この作品が最も有名ですが、彼自身は力を抜いた作品だと言っていて、民族の誇りをかけて一生懸命作曲したのは「ダリボル」だそうです。しかしながら、この作品はチェコの民族主義と呼ばれる楽派の代表的なオペラです。
音楽も親しみやすく、庶民派オペレッタという感じです(そういえば、肩肘を張っていないはずのオペレッタの題材ってどうして庶民が出てこないんだろう?)。序曲の頭に流れる旋律は「寅さん」のテーマ音楽にそっくりですので、ぜひ聞いてみてください(笑)。また、それぞれの幕ごとの村人たちの合唱がよくできていると思います。
ストーリーはバレエの「リーズの結婚」によく似ています。バカな金持ちの息子よりも労働者階級の恋人を選んでハッピーエンドというストーリーです。でも、現代から見ると、「リーズの結婚」も「売られた花嫁」もバカな金持ちの息子を笑い者にしているというのが障害者差別のように見えてしまうのです。子供達までヴァシェクをいじめていますが、それまで笑い者にされています。おそらく当時はバカな金持ちの息子を笑うことによって、身分制度に対する皮肉がこめられていたのかもしれませんけど。バカな金持ちの息子と言っても、親からお小遣いを貰って、チャラチャラ遊んでいる放蕩息子とは違います。むしろ、悪知恵の働くイェニークよりも素直で純情なくらいです。いくらこの作品自体がヴァシェクを嘲笑していても、観客の立場としては素直には笑えないのです。

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