Le Rossignol

(原作アンデルセン/作曲ストラヴィンスキー)

初演

1914年5月26日 パリ・オペラ座

登場人物

ナイチンゲール(夜鶯、S)/漁夫(T)、料理女(MS)/中国の皇帝(Br)/内大臣(B)/僧侶(B)/日本の使節(T、Br、T)/死神(A)

あらすじ

1幕

夜の森の湖に、宮中の廷臣たちが病気の皇帝を慰めるためにナイチンゲールを探しにやってくる。ナイチンゲールは快く宮中へ行くことを承諾する。

2幕

宮中へ呼ばれたナイチンゲールは皇帝に歌を披露すると、皇帝の病気は回復してくる。しかし、日本からの使者がやってきて、機械製の鶯を献上する。これも気に入った皇帝はナイチンゲールと機械の鶯を競争させようとする。しかし、ナイチンゲールは飛び去ってしまう。怒った皇帝は機械の鶯を宮廷第一歌手に任命する。しかし、皇帝の病は再び重くなってしまう。

3幕

更に病気が重くなっていて死神たちにうなされている皇帝は機械の鶯に歌を命じるが、一向に歌わない。本物のナイチンゲールをなつかしんでいると、再びナイチンゲールが戻ってきて歌う。その歌は死神の心までをも動かし、皇帝は力を取り戻す。

朝になって、葬儀の準備をしている廷臣たちの前に、皇帝はすっきりした表情で登場する。

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全幕で1時間も満たない大変短いオペラですが、アンデルセンを原作とするこのオペラの内容は大変濃いものになっていると思います。

幕が開くときの音楽は、音を聞いただけで、中国の夜の湖を連想させます。そして、あまりこのストーリーには重要ではないと思われる役である漁夫ののどかなアリアではじまります。まるで、中国の観光パンフレットにも載っていそうな情景です(イメージとしては「白蛇伝」に出てくる杭州の西湖といった感じです)。

2幕では、このオペラの盛り上がる場所で、にぎやかな宮中の様子を思わせる音楽になります。「トゥーランドット」のような壮大さはないのかもしれませんが、宮殿の一部屋のような音楽です。そこで、ナイチンゲールはコロラトゥーラを駆使した歌を歌います。しかし、雰囲気は急に変わります。日本からの使者が機械の鶯を献上しにやってきます。この機械の鶯が歌う旋律は人間の声ではなくて、オーボエによるものです。生きているナイチンゲールにも、負けずにも技巧的な旋律ですが、生気を感じさせません。生きているナイチンゲールは自分の心の歌を無視されたことを悲しんだのでしょうか?それとも機械と競争する、ということでプライドを傷つけられてしまったのでしょうか?去ってしまいます。

3幕で、ナイチンゲールは病で後悔している皇帝のところへ戻ってきます。そのおかげで、皇帝は回復します。皇帝を直したものは何だったのでしょうか?美しい旋律でしょうか?技巧的な芸術でしょうか?それとも心だったのでしょうか?

このオペラのストーリーだと、心のこもったものの方が機械が作ったものよりいいのだ、といいたいのだろうとすぐにわかります。実際、主役はコロラトゥーラ・ソプラノですが、ベルカント・オペラのコロラトゥーラに見るような歌手の技巧を披露するというよりは、単に鳥の声を模しているように思えます。しかし、そんな教訓めいたことを抜きにしても、情景がよくわかる絵画的な音楽に、惹かれてしまうのです。

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