Semiramide

(原作ヴォルテール「セミラミス」・ロッシーニ作曲)

あらすじ

1幕

バールの神をたたえる神殿で、祭司長のオローエ、貴族のアッスールなどがアッシリア女王セミラミデに後継者を指名するようにと言う。彼女が「ニーノの…」と言いかけると、突然、稲妻が走り、人々は不吉な思いをする。
アッシリアに戻ってきたアルサーチェはオーロエから前王ニーノが裏切られて殺されたことを知らされる。彼の愛しているアッシリアの王族の娘アゼーマをアッスールも愛していることを知り、諍いを起す。
アルサーチェを愛しているセミラミデは彼が戻ってくることを喜んでいる。「アルサーチェの結婚により幸福になる」という神託が来たので、彼女は喜ぶ。アルサーチェがアゼーマとの結婚を認めてもらうためにやってきたのを自分のことだとセミラミデは勘違いして、彼を励ます。
セミラミデは貴族たちの集まっている宮殿の広間で、アルサーチェとの結婚と王位の継承を公表し、アゼーマはインド王子のイドレーノと結婚すると宣言する。周囲からは反対意見が聞かされる。突然、再び稲妻が落ちる。ニーノの霊が現れ、「アルサーチェが王位を継ぐことに異存はないが、その前に自分を殺した裏切り者に復讐するように」と告げる。

 

2幕

ニーノの后だったセミラミデが女王でいられた理由は、彼女がアッスールと共謀して、ニーノを殺したためであった。アッスールは彼女に協力したなりの報いがあっても良いではないか、と詰め寄るが、拒絶される。
アルサーチェはオローエからニーノの恨みの遺書を受け取り、自分がニーノの息子ニニヤであること、ニーノはセミラミデとアッスールに殺されていたということを知り、復讐をすすめられる。

セミラミデをつれなくなったアルサーチェを引き止めているが、彼からニーノの遺書を見せられ、自分の息子であったことを知り、自分を殺して復讐を果たすようにという。しかし、自分の母親を殺すことをためらっているニニヤはアッスールにだけ復讐することができれば、と考えているので、セミラミデは励ます。
ニーノの墓場でアルサーチェはアッスールを殺すつもりである。セミラミデもアルサーチェに加担するために暗室にいる。アッスールの声がするとアルサーチェはセミラミデを彼だと思って殺す。アッスールは捕えられるが、アルサーチェは自分の母親を殺してしまったことを悲しむ。
突然舞台が明るくなって、新しい王ニニヤとなったアルサーチェの戴冠式が行われる。

 

*****************************

 

ロッシーニにしては上演時間も3時間半と長めで、彼は他のオペラよりも力を注いでいたようです。ロッシーニのオペラ・セリアの代表作でもあります。しかしながら、初演時はそれほど好評ではなかったようです。
テノールのイドレーノには綺麗なテノールのアリアがあるにも関わらず、アゼーマに恋する男という以外の何者でもなくて、権力欲はないようです。ドニゼッティでもそうですけど、この時代のオペラのテノールって恋しかできない男が多いのでしょうか?役としてはアゼーマの方がよっぽど重要ではないかとは思うのですけど、彼女にはそれなりのアリアが与えられていないのです。
セミラミデの願望は、自分が女王になったのは、アッスールのおかげでもあるのに彼をないがしろにしておきながらも、女王としての立場は確保しつつアルサーチェと結婚したい(途中で恋人としての愛情から母親としての愛情に変るのですが)という、ちょっと虫の良いものではありますね。
アルサーチェはメゾのズボン役が歌います。ロッシーニのメゾのズボン役って、あまり中性的な感じはしないし、ケルビーノのような少年というわけではなくて二枚目の成人男性の役が多いですね。ロッシーニ独特のキャラクターという感じがします。
魅力的な悪役はアッスールです。カルメンやドン・ジョヴァンニのように自分がワルであるということを認めていながらも、自分なりのポリシーを貫こうとします。結局、彼はアルサーチェに負けることになるのですが、その時に啖呵を切った言葉がすごいのです。「神の定めた運命に逆らってやる。」「お前が王とは死ぬよりも忌々しい。」「俺の負けだが嬉しいぞ。お前は母殺しとして一生苦しむことになるのだから。」これを言われたアルサーチェは勝ったのにも関わらず、死にたいと思うほど傷つきます。負けても毒のある言葉を投げつづけるアッスール。決して負け惜しみを言っているわけではないのです。

 

recommendhome