La Vida Breve
(台本カルロス・フェルナンデス=シャウ・作曲ファリャ)
初演
1913年4月1日 ニース、ミュニシパル・カジノ(仏語版)
1914年
11月14日 マドリード、サルスエラ劇場(西語版)登場人物
サルー(ジプシー娘、S)/サルーの祖母(MSまたはA)/パコ(サルーの恋人でグラナダの上流市民、T)/カルメラ(金持ちの令嬢でパコの結婚相手)/サルバオール(サルーの大叔父)/マヌエル(カルメラの兄)/カンタオール(フラメンコの歌手)/物売りの声(Ms/T)/鍛冶場の男の声(T)
あらすじ
1幕
グラナダ市内のジプシーの家から、老婆が孫娘サルーの恋の悩みを同情しながら出てくる。サルーが登場し、彼女に恋人パコが最近姿を見せないことを相談する。祖母は慰めていると、パコが登場するので、サルーは大喜びで飛び出す。恨み言を言うサルーにパコは言い訳しているが、結局二人は愛を誓い合う。その様子を見てほっとした祖母に、その弟サルバオールがパコは次の日曜日に金持ちの令嬢と結婚するという噂があることを教えて怒っている。
2幕
パコの結婚相手であるカルメラの家の中庭で婚礼の祝宴が行われていて、フラメンコで祝っている。サルーがその様子を覗いて悲しみ、目の前に出て自分のことを暴露してやろうと思う。そこへ祖母とサルバオールもやってくる。祖母は孫娘を慰めるが、サルバオールは激怒する。祖母が止めるのも聞かずに、サルーとサルバオールは中庭へ入っていく。パコはサルーの絶望的な声を聞いて動揺する。
2人の招かざるジプシーを見たマヌエルは「踊りに来た」と言うサルバオールに皮肉を言う。正気に戻ったサルーは「私は踊りに来たのではなくて、裏切って捨てたこの人に殺してもらうため」と言う。良心の呵責を感じていたパコだったが、体面のためにサルーの言ったことを否定する。サルーはパコへ近づきながら倒れて息絶えてしまう。祖母はサルーに駆け寄り、パコを罵り、サルバオールはパコを刺し殺し、カルメラは失神し、人々は唖然とする。
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スペインを舞台にしてあるオペラは少なくありませんが、スペイン人によるスペイン語のオペラは珍しいでしょう。その中のジプシーと言うと、「カルメン」のように、確かに裕福そうではありませんが、自由気ままに生きている人たちのような印象を受けます。しかし、現実のスペインでは、ジプシーは一般のスペイン人からの差別があるようです。フラメンコが他の舞踏のように無理やりにっこりする踊りというよりは、喜びだけではなく、眉間にしわまでよせて辛さ、悲しさも情熱的に表現しようとする舞踏などもこうした背景があるのでしょう。特に、このオペラの舞台グラナダは中世にはイスラム教徒のムーア人が支配してあったカリフ教国の首都で、16世紀にはキリスト教の本山となり、後には東方起源のジプシーが一般スペイン人たちと混じって暮らすようになったところです。
このオペラのヒロイン、サルーもジプシー娘で、一般スペイン人のパコと恋仲にはなっていますが、サルーが本気なのに対して、パコは結婚相手としてなら同じ階級のスペイン人で金持ちの令嬢のカルメラを選びます。サルーには両親が登場しません。変わりに、母親役が祖母で父親役がサルバオール大叔父です。この2人は、ちょっと過保護ではないのかという気はしますが、サルーのことをまるで自分ことのように思っています。
「恋人の裏切り」とか「階級・民族間の悲恋」いうテーマだったら、他のオペラにも沢山あるのですが、印象付けられるのは、独立して演奏されることも多い2つのスペイン舞曲、本物のフラメンコの歌手によるこぶしたっぷりの祝いの歌などスペイン色たっぷりなところです。伊独仏露のオペラは一通り聞いた、という人にもお勧めです。